2013年7月22日月曜日

米グーグルは増益決算だが、広告単価の下落により、株価が下落。

2013年7月18日に米グーグルが発表した2013年4月~6月期の決算は、売上高が前年同期比19%増の141億500万ドル、純利益が前年同期比16%増の32億2800万ドルとなった。
純利益は四半期ベースで過去最高となった2013年1月~3月期に迫る高水準を維持した。

しかし、実質1株当たり利益は前年同期比6%減の9.56ドルとなり、市場の予想を下回った。
このため、直後の時間外取引で株価は5%超下落し、現在は少し戻しているものの、発表前の株価までは戻していない。
当期純利益が高水準にも関わらず、1株当たり利益が下がっているということは、資本効率が悪化していることを意味する。

グーグルの収益の柱は、ネット検索のキーワードに関連する広告を表示する検索連動型広告だ。
グーグルの検索連動型広告であるグーグルアドセンスは、日本の多くのサイトにも掲載されている。
その収益性の高さから、有名ブロガーをはじめ、多くのサイト運営者に親しまれている。
一方で、収益性の高さを維持するために、掲載に当たる自主規制をグーグルが厳しくおこなっていることが特徴だ。

このグーグルアドセンスの広告単価の下落が大きいようだ。
2013年4月~6月期は、広告の閲覧数が前年同期比で23%増と好調だったが、広告単価は前年同期比で6%下落している。
広告単価の下落は7四半期連続であり、下落率は2013年1月~3月期に記録した4%減を上回る勢いとなってしまっている。

その原因の一つがスマホの普及だ。
スマホの広告はパソコンの広告よりも広告単価が安くなっており、ネット広告各社の課題となっている。
グーグルは、パソコン向けの広告とモバイル向けの広告を一元管理する方針だが、ネット広告の単価を高水準に保てる方策があるかどうか、注目が集まるところだ。

参院選の一人区で民主党が全敗。良識の府の存在意義はあるか。

今回の参議院選挙では、全部で31選挙区が該当し主戦場となる「1人区」において、自民党が岩手と沖縄を除く29選挙区で勝利し、民主党は「1人区」のうち19選挙区で公認候補を擁立したものの全敗した。
民主党の1人区全敗は12年ぶりとのことだ。

この状況はもはや、候補者の経験、知識、能力によって勝敗が決まっておらず、所属する政党に吹く風によって勝敗が決しているといえる状況だろう。
結果があまりに偏りすぎている。

ねじれ国会が解消することは歓迎すべきことだと思うが、単に意思決定のスムーズさを重視するのであれば、参議院はそもそも不要だと思う。
参議院の存在意義は経験豊富な議員による自由な議論にあるはずであり、だからこそ良識の府と呼ばれてきた。

参議院を良識の府と呼び存在意義を見出すのであれば、所属政党だけで決着をつけるのではなく、候補者一人ひとりの経験、知識、能力を国民が選別して、必要な議員を当選させる必要があるのではないだろうか。
このような結果が続くと、参議院はいらないという議論に拍車がかかりそうだ。

2013年7月20日土曜日

自動車の街デトロイト市が破綻。日本は財政健全化法の運用が重要。

GM、米フォード、米クライスラーなどが拠点を置いていることで有名な自動車の街デトロイトが、2013年7月18日に米連邦破産法第9条を裁判所に申請して財政破綻した。

GMは09年の経営破綻から急回復をしているが、経営破綻に伴う税制優遇措置などがあり、最近のデトロイト市の税収にはあまり貢献をしていなかった模様。

デトロイト市は、米国の主要都市の中で最悪レベルの犯罪率となっている治安の悪さから近隣自治体へ人口流出が起こっている上に、自動車会社の生産が海外移転したことに伴う雇用縮小が追い打ちをかけ、財政持続の目処が立たなくなったようだ。

また、デトロイト市は、歳入のうち38%が負債の支払及びレガシーコスト(年金・保険などの過去のしがらみに基づく負債)に費やされており、対策を講じなければ歳入に占める割合が65%まで高まるとしている。

地方自治体にとって歳入に比べ歳出が大きくなる要因は人口の減少だろう。
歳出は一度膨らませてしまうと削減することは困難だが、歳入は人口が減少すれば容赦なく減ってゆく。

また、少子・高齢化が進めば自然とレガシーコストは膨らんでくる。

日本でも苦しくなってくる地方自治体が多くなることが予想されるが、事前に財政破綻を防ぐ仕組みである「地方自治体財政健全化法」が有効に機能するように努力することが重要だ。

日本の「地方自治体財政健全化法」では、実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率の4つの指標から毎年度財政状況を監視し、一定の基準を超える自治体には財政健全化計画の策定と実施を義務付けている。

財政破綻の状況になってから明るみに出ることにならないように、事前に防止を図る法律であり、効果が期待される。

参院選の結果によるマーケット展望

明日の参院選では、連立与党の勝利はほぼ確実視されている。

焦点となってくるのは、自民党が単独で過半数を確保できるかどうかだ。
改選議席121議席のうち72議席を自民党が獲得すれば、単独過半数達成となる。

連立与党の勝利は既に織り込み済みであろうから、単に連立与党が勝利することだけでは、マーケットの反応は薄いだろう。

一方で、難しいとみられている自民党単独での単独過半数を達成することができれば、アベノミクスが進展するとの思惑から、円安・株高の流れになる可能性が高いと思う。

個人的には今回の選挙により、ようやく、ねじれ国会が解消されるであろうことを歓迎したい。

苦しい時期になったからこそ、当時の与党が誹りを受け、大敗し、政治の混乱を招いた。
苦しい時期にこそ、政治が安定していることが、本来は国益に叶うことだろう。
苦しい時期に政治が混乱したとしても、2大政党政治の時代に変わるような成果が得られれば良かったが、残念ながらそうはならなかった。
しかし、苦しい時期を乗り越えたからこそより強力な与党政権が誕生し、国が一丸となれるのであれば、それもまた良しだろう。

日本株の通算損益は+364万円に。トラストテック株式を買い増し。

今週は金曜日に日経平均が下落し、2008年9月18日に投資を開始して以来の日本株の通算損益は+364万円となった。

今週は既報の通り、アイ・エム・アイ株式の売却代金の一部により、トラストテック株式を買い増しした。
トラストテック株式は、年間を通して少しずつ買い増してゆく方針。

<今週の取引>
トラストテック株式100株を@671円で買い付け

<通算損益>
(2008年9月18日~2013年7月19日)
総投資額  3,195,329円
時価     6,838,040円
通算利益  3,642,711円
投資利益率  +114.0%

年初までの通算利益 2,265,031円
本年の利益       1,377,680円
 
前週までの通算利益 3,665,006円
今週の損益変動    △22,295円   

現在のポートフォリオは以下の通り。
基本的には、
①配当利回りの高さ
②業績の安定性
③指標の割安度
の順番に重視して、長期投資できるだけの信頼をおける銘柄に投資をしている。

(全32銘柄)

①株主優待系
サンマルクHD
キャンドゥ
ひらまつ
西松屋チェーン
スタジオアリス
イフジ産業
ビックカメラ
TAC
シダックス
シーボン
メガチップス
ダイユーエイト

②自動車部品系
三桜工業
リョービ
日本バルカー工業
安永

③商社系
住友商事
三菱商事
トーメンエレクトロニクス

④その他
DIC
フジ住宅
トラスト・テック
ローランド
レック
東栄リーファーライン
エプコ
ジオマテック
ありがとうS
システナ
テクノホライゾン
極東証券
 
 

ソフトバンクを格付け機関が格下げも株価は堅調

ソフトバンクの米スプリント社買収に伴い、財務的健全性が損なわれる懸念から、格付け機関はソフトバンクの格付けを引き下げた。
一方で、野村証券は目標株価を引き上げた。

<ここまでの動き>
7月6日
ソフトバンクが、スプリント社買収計画に係る連邦通信委員会の承認を取得。
7月5日終値5880円⇒7月8日終値5680円

7月8日 
S&Pが、スプリント社買収に伴う財務悪化懸念から、ソフトバンクの格付けを投機的水準とされる「ダブルBプラス」に引き下げ。
7月5日終値5880円⇒7月8日終値5680円

7月17日
ソフトバンクが約3割出資する中国の電子商取引最大手アリババ集団が、香港株式市場に上場するとの観測が伝わる。ソフトバンクが保有するアリババ株の資産価値向上を見込んだ買いが増える。
7月16日終値5910円⇒7月17日終値6200円

7月18日
ムーディーズ・ジャパンが、スプリント社買収に伴う財務悪化懸念から、ソフトバンクの格付けを投機的とされる「Ba1」に引き下げ。
7月17日終値6200円⇒7月18日終値6450円

7月18日
野村証券が目標株価を6430円から7370円に引き上げ。
スプリント社買収は、短期的に償却負担の増大などから連結純利益を押し下げるが、長期的には株式価値の向上につながるとの判断。
7月17日終値6200円⇒7月18日終値6450円


マーケットは、ソフトバンクの財務的健全性の懸念よりも、今後の成長性を評価している。

2013年7月18日木曜日

NECはスマホ撤退報道で株価上昇。収益改善効果は大きい。

NECが不採算事業となっているスマートフォン事業から撤退するとの報道がでたことで、NECの株価は上昇した。
マーケットは不採算事業からの撤退を好感したようだ。

NECは、子会社のNECカシオモバイルコミュニケーションズでスマートフォン事業を行っているが、ガラケーの時代に一時27%に達していた国内シェアが現在では5%程度まで低迷し、同子会社は約600億円の債務超過になっているとのことだ。
中国のレノボ・グループと交渉していた携帯電話事業の統合についても、NECの希望する過半の出資をレノボが了承せず、見送りとなる見通しとなった。

NTTドコモが、夏の商戦でソニーとサムスンの2機種を大幅に値引きする「ツートップ戦略」を打ち出していることで、NECのスマホ事業は回復の見通しが立たなくなっていた。
このような状況の中で、従来のシェアの奪還は難しく、スマホ事業からの撤退は妥当な判断だろう。

しかし、今後の携帯電話事業はガラケーに特化する方針であり、事業縮小の該当社員をグループ会社に再配置するとのことで、具体的な成長戦略は見えず、まだまだ買いは入れづらい状況だ。
今回の件は、単に赤字部門が整理されるとの評価に終わる可能性が高い。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)      売上高   経常利益   当期純利益
平成24年3月期     3,036,836   42,050    △110,267
平成25年3月期     3,071,609   92,024      30,434
平成26年3月期予想  3,000,000   70,000      20,000

縮小均衡傾向にあるが、平成24年3月期に計上した大赤字の後、現在では黒字を確保していることは評価できる。
今回のスマホ事業からの撤退に伴う整理コストはまだわからないが、前期に子会社のNECカシオモバイルコミュニケーションズで計上した純損失約400億円が今後なくなるのは大きい。

今後、ITソリューション事業や通信インフラ事業などの主力事業が、緩やかであっても良いので海外で伸びてくるようになれば、安定性が出てきて買いやすくなるのではないだろうか。

2013年7月17日水曜日

消費税増税は小売業にどう影響するか

2014年度からの消費税増税に合わせて、消費税増税分の価格転嫁を円滑にするために、「消費税還元セール」を禁止する特別措置法案が2013年6月5日に成立している。

企業における消費税の納付額は、
「顧客から預かった消費税」-「取引先に支払った消費税」=「納付すべき消費税」
という計算式になっており、各中間業者が皆そのようにすることで、最終的な消費者に負担が帰属する仕組みになっている。
これは、多段階累積控除と呼ばれる仕組みだ。

この仕組みの中で、消費税増税分を価格転嫁すれば、企業側に負担は生じない。
なぜなら、預った消費税はそのまま納めれば良いし、支払った消費税は控除できるからだ。

一方で、消費税増税分を価格転嫁せずに税込価格をそのまま据え置きにすれば、本体価格が減少して消費税額が増加することになり、消費者ではなく企業側に負担が生じることになる。
取引過程の上流に位置する企業では「預かった消費税」が増えたとしても「支払った消費税」も増えていれば影響は少ないが、下請になればなるほど「支払った消費税」で控除する機会が乏しくなり負担が大きくなる。

消費税の本質は消費者が負担をすることにあるから、消費税の増税時には増税分を価格転嫁して最終的に消費者に負担させることが、政府の想定する姿だ。

ここで懸念されるのが、大手スーパーなどが消費者に価格転嫁をせず、下請け業者にも価格転嫁を認めない場合である。
消費者の離反を恐れ、、「消費税還元セール」などの形で消費税の価格転嫁を行わずに、下請業者にも消費税の価格転嫁を認めなければ、最終的にババを引くのは消費税の計算の仕組み上、下請業者となってしまう。

そのような事態を防止するため、特別措置法案では、「消費税」や「税」といった言葉を用いたセールを禁止している。
また、「税込価格」を表示する総額表示義務も緩和され、「税抜」表示も一時的に認められることになる。

この特別措置法案にどの程度の実効性があるのかは不透明だ。

一方で重要な役割を果たしそうなのが「下請法」による取り締まりをおこなっている公正取引委員会だろう。
下請へ支払う代金を不当に減額したと見なされれば、「下請法違反」となり、多額の遅延利息をとられることになりかねない。

小売業者の消費税増税に関する悩みは尽きそうにない。







バーナンキFRB議長の議会証言に注意

2013年7月17日~18日にかけてバーナンキFRB議長の議会証言が行われる予定だ。

最近の為替は、FRB関係者とりわけバーナンキFRB議長の発言の影響が大きいので注意が必要だ。

ハト派(金融緩和)的発言が出ればドル安、タカ派(金融引き締め)的発言が出ればドル高、と方向性はわかりやすいが、バーナンキFRB議長からどのようなニュアンスで発信され、マーケットでどのように解釈されるかは正直予想がつかない。

しかし、FRBが金融緩和の出口戦略を模索しているのは間違いなく、緩和傾向にある円やユーロと比較すれば、ドル高になりやすいのではないかと思う。

2013年7月16日火曜日

サントリー食品インターナショナルの株価はどこまで上がるか

最近はIPO銘柄の好調が続いている。

今年最大のIPO案件である7月3日の「サントリー食品インターナショナル」も、売り出し価格3100円に対して、2013年7月16日の終値は3635円と好調だ。

現在の株価水準を同業他社と比べてみよう。

(指標はSBI証券の株価情報より) 予想PER  実績PBR
サントリー食品インターナショナル   32.1倍    4.12倍
コカ・コーライースト            41.4倍    0.74倍
コカ・コーラウエスト            21.4倍    0.81倍
キリンホールディングス          17.6倍    1.66倍

それぞれ事業範囲に違いがあるため単純に比較はできないが、サントリー食品インターナショナルは予想PERが同業他社よりも高い水準にあり、株価は割高といえる。
予想PERが高いことは、利益が成長してゆくことで解消されるか、株価が下落することで解消されることになるだろう。

次に実績PBRが突出して高いことが分かる。
こちらについては、SBI証券の提供している株価情報を参考に作成をしたが、今回のIPOによる資金調達で純資産の額と発行済み株式総数が変動するであろうから、実際のところは良く分からない。
公募増資で約2700億円の資金を調達し、681億円を借入金の返済に充て、残りをM&Aなどに使うとのことなので、今後も資金需要は多いのだろう。
将来的にもPBRが高水準でとどまるのであれば、M&Aなどの資金需要が旺盛なだけに、公募増資による希薄化のリスクなども出てくるだろう。

このように現在の株価は、同業他社に比べて割高な水準と言える。
今後の成長が期待されている証拠だろう。
しかし、指標面を考えると、これ以上株価が上がってゆくのは怖い感じもする。

上場会社になったのであるから、少数株主に配慮した経営を期待するとともに、調達した資金により海外での存在感を増すことを期待したい。
そして利益成長を遂げて、現在の株価に見合った上場会社になってもらいたいものだ。

投資信託の手数料は下がるか

私は投資信託を全く保有していない。
理由は簡単、手数料が高いからだ。

私は、株式投資において配当利回りを重視している。
投資信託のように毎年手数料を取られる仕組みは、重要な果実を持っていかれてしまうため、保有する気にならないのだ。

この度、金融庁は、投資信託の統合に係る手続きを簡単にして、手数料の引き下げを促す方針のようだ。
現在、投資信託の数が急増して手数料が過去最高水準に達しており、投資家に不利益が発生している。
投資信託を統廃合させることで、管理コストを圧縮して、手数料の引き下げにつなげる狙いだ。

2014年春にも統合基準を緩め、従来義務付けられていた投資家による書面決議を緩和する。
しかし、従来の投資信託の統合手続が厳格だったことも影響し、投資信託の統合の例はない。
また、販売会社ごとに手数料体系が違うことなど、統合に向けた課題は多そうだ。

この規制緩和により、投資信託の手数料が劇的に安くなることがあれば、今後は投資信託も保有を検討してみようと思う。

ローランドの株価が上昇中

「低PBR銘柄レビュー」や「三木純一新社長に期待」でも紹介したローランドの株価が上昇中だ。
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/06/blog-post_6125.html
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/06/blog-post_1978.html

上昇の理由は、
①ユーロ安が再評価されたこと
②新製品大型プリンターの販売が好調なこと
③3Dプリンターに対する期待
だろう。
これらは、子会社であるローランドDGが好調であることによるものだ。

電子楽器部門も力を取り戻し、ローランドが本来の姿を取り戻せるか注目だ。

東証と大証が統合。上場コストは下がるか。

本日、東証と大証の現物株市場が統合され、東証の上場会社数は3423社となった(世界第三位)。
初日はトラブルなく無事にスタートしたようだ。
関係者の努力はさすがの一言である。

東証と大証が統合しても、私のような個人投資家にとっては、ほとんど影響がないように思う。
一部では東証と大証の審査基準の違いなどが議論になっているようだ。

また、日本取引所グループは、東証と大証を統合することで、システム統合により年間約70億円のコスト削減が見込めるとのことだ。
ここでは上場会社に係る上場コストについて考えてみたい。

上場コストには、上場会社が直接負担するもの、取引所が負担するもの、投資家が負担するもの、など様々なコストがあるだろう。

上場コストの中でも、上場会社が直接負担するコストは近年激増している。

内部統制というモンスターがアメリカから上陸し、J-SOXなる名前のもとで、上場企業に大量の書類を作らせ、監査法人に多額の報酬を支払わせ、上場コストを激増させたのは最近の話。

IFRSなる欧州の会計基準が、上場会社の財務報告負担をさらに増大させることも、近い将来に起こりかねない。
既に大量の分量を誇る有価証券報告書をさらに膨らませて、いったい誰が読んでいると言うのか。
重要な情報があれば、有価証券報告書に形式的に注記するのではなく、必要な場合に記載をさせたり、東証が適時開示をさせたりすれば十分だ。
IFRSの導入は海外の投資家の理解を得るためというが、ジャパンパッシングが会計基準のせいではなかったことが、アベノミクスで明らかになっただろう。

近年の上場コストの増加というデメリットは、企業粉飾の低減というメリットを上回ってしまっているように思う。

上場コスト(上場会社が負担するものにしても、取引所が負担するものにしても、投資家が負担するものにしても)の削減は、日本経済と投資家にとっての利益となるはずだ。

今回のような上場に係るコストの削減というのは、最近の上場会社を取り巻く環境では珍しいように感じたため、歓迎したい。

トラスト・テックの株式を買い増し。

先日、高配当銘柄レビューで分析をしたトラスト・テック株式会社の株式を本日買い増しした。
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/07/blog-post_14.html

以前から保有していた200株に加えて、本日100株を@671円で約定した。
この結果、保有するトラスト・テック株式は、合計300株・平均取得単価@533円となった。

円安による輸出企業の回復で、技術者派遣事業と製造請負ともに伸びてくるのではないかと予想している。
日本の失業率が低下傾向にあるのも追い風だろう。

一方で、労働契約法の改正による影響は未知数だ。
懸念されている通り、逆に雇い止めを促進する可能性が高いと思う。
その結果、労働者派遣市場はより必要とされてくるのではないか。
今後の動向を注視したい。

なお、トラスト・テック株式会社は6月末が決算であり、年一括の配当なので、あせって買い増す必要はなさそうだ。
夏場に一気に買い増しはせずに、四半期決算をみながら年間を通して徐々に買い増しをしてゆく方針だ。

2013年7月15日月曜日

割安銘柄レビュー(ジオマテック)

ジオマテック株式会社は、薄膜加工技術の専門メーカー。
主力製品は、液晶パネル用帯電防止膜やタッチパネル用透明導電膜である。

真空状態にした成膜装置の中で基板上に薄膜を形成することにより様々な機能を持たせる「真空成膜技術」は、様々な製品に利用されており、今後も需要は多いはずだ。
スマートフォン、タブレット機器、太陽電池装置、カメラ、プロジェクター、電車窓、信号機、ETCなど、様々な製品に必要とされている。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)         売上高  経常利益  当期純利益
平成24年3月期         9,314    1,073      879
平成25年3月期         9,821     886      845
平成26年3月期予想     10,700    1,060     1,000

業績は比較的安定して推移している。
繰越欠損金があるため、今後の税負担が軽いことも追い風になるだろう。
現在は保守的な見込みから、繰延税金資産をほとんど計上していないため、今後業績が回復した時に繰延税金資産を再計上する楽しみがある。

セグメント情報は、真空成膜関連製品等の製造・販売を行う単一セグメントとなっており、記載されていない。
需要家の最終製品別での損益管理を見てみたいものだが、記載されていないのでは仕方ない・・・。

代わりに売上高上位の取引先を見てみよう。
(単位:百万円)           平成24年3月期    平成25年3月期
㈱日立ディスプレイズ            2,246          1,259
シャープ㈱                   976         10%以下
ソニーモバイルディスプレイズ㈱       965         10%以下

日立系、シャープ系、ソニー系への売上が大きいようだ。
しかし、平成25年3月期には、上位3社に対する割合は薄まっていることが分かる。
売上高に占める割合が10%以下となり記載が省略されてしまっているため、分析のしようがない・・・。

<注>
㈱日立ディスプレイズは㈱ジャパンディスプレイイーストに、ソニーモバイルディスプレイズ㈱は㈱ジャパンディスプレイイーストに社名変更後、平成25年4月1日に他社も含めて合併して㈱ジャパンディスプレイになっている。

ここで、シャープ向けの債権・債務を整理しておこう。

平成25年3月末時点で、シャープに対する売掛金が3,921百万円ある。
一方で、シャープに対する買掛金が3,952百万円ある。

シャープ向け債権の安全性には疑問が残るが、買掛金が同程度以上残されているため、万が一の場合でもジオマテック株式会社が大きな損害を被る可能性は低いだろう。
但し、シャープ向け売上高の減少という形で業績に影響を与えてくる可能性はあるので、注意が必要だ。


一部に分析できない項目もあったが、業績動向からみると、ジオマテック株式会社の今後には期待をできる状況であると思う。
薄膜加工技術は、様々な製品に応用されているため、今後も必ず必要とされてくる会社だ。

2013年7月12日の終値1005円に対して、配当予想は30円(2.98%)、予想一株当たり利益は119円(PER8.4倍)、一株当たり純資産は2077円(PBR0.48倍)となっており、指標面でも割安だと思う。

中国景気は減速もマーケットの想定内

中国のGDP成長率が発表され、実質GDP前年比(2Q)は7.5%と減速していた。
なお、マーケットの予想も7.5%であったため、市場が混乱した様子はない。

前回発表された実質GDP前年比(1Q)は7.7%であったため、景気が減速傾向にあるのは間違いないだろう。
懸念されるのは、下期の実質GDP統計も下振れし、年間の中国政府の目標である7.5%を達成できなくなることだ。

輸出代金を装って持ち込んだマネーで投機を行う架空貿易の取り締まりが行われるようになったことで、輸出統計が激減している。

今後も中国経済リスクには目が離せない。

2013年7月14日日曜日

高配当銘柄レビュー(トラストテック)

トラストテック株式会社は、技術者派遣が主力事業で、子会社では製造請負も行っている。
6月決算の会社である。

期末一括配当であり、平成25年6月期の配当予想30円は、2013年7月12日終値667円に対して、約4.5%と高配当利回りである。

業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)         売上高  経常利益  当期純利益
平成24年6月期第3四半期  11,679    460       265
平成25年6月期第3四半期  11,036    493       290

(単位:百万円)         売上高  経常利益  当期純利益
平成24年6月期         15,459    667       354
平成25年6月期予想      15,000    800       463

主なセグメント別の業績動向は以下の通り。

<平成24年6月期第3四半期>
(単位:百万円)       外部売上 セグメント利益
技術者派遣・請負・委託   5,306     340
製造請負・受託・派遣     6,327     101

<平成25年6月期第3四半期>
(単位:百万円)       外部売上 セグメント利益
技術者派遣・請負・委託   5,815     426
製造請負・受託・派遣     5,173      47

技術者派遣・請負・委託事業は、研究開発・設計・生産技術などの技術分野を対象とした事業となっている。
半導体業界向けが減少したものの、自動車業界向けが好調であった。
この流れは今後も期待できるように思う。

製造請負・受託・派遣事業は、顧客企業の製造工程における人材需要を対象とした事業となっている。
こちらについては、顧客企業との契約終了や減産により、売上高と利益ともに減少している。
ただ、機械・電気機器業界の一部企業の増員や住宅関連企業との取引の請負化に伴い、このセグメントに従事する社員数を2013年3月末において、2012年12月末よりも136名増員して2011名としており、今後は回復基調になるのではないかと思われる。
しかし、それでも2012年3月末よりも129名少ない水準であり、本格回復にはならなそうだ。

<総合評価>
全セグメントをトータルすると、利益は増加基調にある。
また、アベノミクスによる円安で輸出企業の労働力需要は高まっており、日本の失業率は低下傾向にある。
多くの企業が依然として正規社員の採用を避ける傾向にあることも、人材派遣会社にとって追い風だろう。
配当利回りの高さも魅力的で、投資価値は高いのではないだろうか。


2013年7月13日土曜日

日本株の通算利益は366万円に。アイ・エム・アイのMBOで利益拡大。

今週も日経平均が上昇し、2008年9月18日に投資を開始して以来の日本株損益の通算は、以下の通りとなった。
今週は既報の通り、アイ・エム・アイにMBOがかかり、106,500円の利益を確定することができた。
アイ・エム・アイの代わりに購入する銘柄については、現在検討中である。

<今週の取引>
・アイ・エム・アイ株式100株を@2606円で売却

<通算損益>
(2008年9月18日~2013年7月12日)
総投資額 3,195,329円
時価    6,860,335円
通算利益 3,665,006円
投資利益率 +114.7%

年初までの通算利益 2,265,031円
本年の利益       1,399,975円

現在のポートフォリオは以下の通り。
基本的には、
①配当利回りの高さ
②業績の安定性
③指標の割安度
の順番に重視して、長期投資できるだけの信頼をおける銘柄に投資をしている。

(全32銘柄)

①株主優待系
サンマルクHD
キャンドゥ
ひらまつ
西松屋チェーン
スタジオアリス
イフジ産業
ビックカメラ
TAC
シダックス
シーボン
メガチップス
ダイユーエイト

②自動車部品系
三桜工業
リョービ
日本バルカー工業
安永

③商社系
住友商事
三菱商事
トーメンエレクトロニクス

④その他
DIC
フジ住宅
トラスト・テック
ローランド
レック
東栄リーファーライン
エプコ
ジオマテック
ありがとうS
システナ
テクノホライゾン
極東証券

2013年7月11日木曜日

バーナンキFRB議長の発言で米ドルが急落

バーナンキFRB議長が講演後の質疑応答で、「インフレと雇用はFRBの刺激策が必要と示す」、「物価低下は経済に悪影響を与える恐れ」と述べたことで、米国金融緩和縮小の思惑が後退して、米金利の下落とともに米ドルが急落した。

FRBは金融緩和の出口戦略を模索しているものの、ちょっとしたFRBメンバーの発言で、開始時期に関する思惑が米金利と為替に多大な影響を与えている。

今後もFRBの幹部の発言には要注意だろう。

アイ・エム・アイ株式をマーケットで売却し、106,500円の利益確定。

先日MBOのかかったアイ・エム・アイ株式100株を@2606円でマーケットで売却した。
MBO価格は1620円であったが、株式公開付けへの応募が面倒なため、マーケットで売却を選択した。

買い単価は@1536円であったため、約106,500円の利益確定(手数料込)となった。

豪ドル買い/円売りの建玉は逆指値に引っ掛かり14,500円の損失確定。

先日、抵抗となっていた92.40を上抜けたことで設定をした「豪ドル買い/円売り」の建玉は、一時93.00を突破するなどしたが、売り時を逃してしまった。

本日、逆指値の91.20に引っ掛かってしまい14,500円の損失確定。

やはり中国の景気が減速傾向にあり、中国金融問題も懸念が大きい中で、豪ドルを買うことはリスクが大きいことを再認識した。

2013年7月10日水曜日

アイ・エム・アイ株式の終値は2606円で、MBO価格の2620円にやや大きく届かず。

先日MBOがかかったアイ・エム・アイ株式は、本日2606円~2610円の間で取引された。

公開買い付けの価格は2620円とされているが、取引価格が2620円に届かないのは、MBOに応募するために三菱UFJモルガンスタンレー証券に口座を作って手続をしなければならないからだろう。

また、買い付け株式数が目標に届かずにMBOが取りやめになる可能性も残されているが、今回の買い付け価格からすれば、その可能性は低い。

公開買い付けへの応募は手続が面倒だ。
不満だが、2620円よりも安い取引価格で市場で売却する予定だ。

保有しているのは100株なので、2606円で売却するとすれば、2620円で買い取られるよりも、1,400円低い価格での換金となってしまう。
今のネット証券時代の取引手数料と比較すると、少し高いと感じてしまう。

株式公開買い付けの手続は、投資家の利便性をもう少し高められないものだろうか。

2013年7月9日火曜日

豪ドル買い/円売りの建玉を設定。抵抗となっていた92.40付近を上抜けたため、打診買い。

今朝発表された豪州のNAB企業信頼感指数は0(前回は-1)、NAB企業景況感指数は-8(前回は-4)と芳しくなかったが、日本の大規模緩和によるマネーストックの伸びが影響したのか、「豪ドル/円」は今まで何度か跳ね返されてきた92.40付近を上抜けた。

92.40付近を上抜けたことで、試しに豪ドル買い/円売りの建玉を立ててみることにした。

しかし、中国問題やユーロ圏問題など、急落につながりやすい要因もあるので、逆指値を91.20で設定している。

買い単価は92.661となっている。

保有するアイ・エム・アイ株式にMBOがかかりストップ高に。少数株主にも納得のゆく買付価格。

医療機器の輸入販売が主力のアイ・エム・アイ株式にMBOがかかり、連日のストップ高になりそうだ。
MBOは経営者による企業買収で、上場会社を非上場化して経営の自由度を高める狙いがある。

今回は、創業者・代表取締役社長かつ筆頭株主である積賀一正氏によるMBOだ(積賀一正氏が代表取締役かつ100%株主となっているKTC株式会社が公開買付け者。)。

買い付け価格は2620円と算定されている。
買い付け価格は、
・以下の三菱UFJモルガンスタンレー証券による株式価値評価分析
・過去のMBOの実例
・公開買い付けへの応募の見通し
を参考にして決定されたもので、公開買い付け公表の前営業日である平成25年7月4日の終値1630円に対して、60.7%のプレミアムが上乗せされている。

<三菱UFJモルガンスタンレー証券による株式価値評価分析>
市場株価分析    1581円~1618円
類似会社比較分析 2400円~2780円
DCF分析       2277円~2830円

<平成24年12月期の各種指標>
一株当たり純資産 2213円
一株あたり利益   192円
一株当たり配当    60円

<平成25年12月期の予想>
予想一株あたり利益 184円

買い付け価格は、
PBR=1.18倍
PER=14.2倍
配当利回り=2.2%
の水準にあり、少数株主としては納得のゆく価格と言える。
利益相反を解消する措置をとり、真摯な価格交渉が行われた結果だろう。

企業買収では時に、少数株主をないがしろにした価格での公開買付けが行われ、泣く泣く応募せざるを得ない状況となる場合もある。
例えば、直近の業績予想で悪い予想を出して株価を急落させた後に買収する場合などが、ひどい事例だ。

今回は、少数株主にも十分に配慮した納得のゆく企業買収といえ、アイ・エム・アイ株式会社と積賀一正氏に感謝したい。

めかぶのアイ・エム・アイ株式の取得価格も1538円であるため、全く不満はない。

今後のアイ・エム・アイ株式会社の躍進を期待したい。

2013年7月8日月曜日

ユーロ売り/ドル買いの建玉を決済し、13,678円の利益確定。

欧州株が堅調な動きを見せている。
特にドイツのDAX指数は前週末比で2%程の上昇。

ポルトガル危機への意識が強まる展開とはなっておらず、難しい流れとなってきたため、ユーロ売り/ドル買いの建玉を決済し、13,678円の利益を確定することにした。

これにより、現在保有しているFXの建玉はない。

2013年7月6日土曜日

日本株の通算利益は353万円に。

今週も日経平均が上昇し、2008年9月18日に投資を開始して以来の日本株損益の通算は、以下の通りとなった。
なお、今週は日本株取引は行っておらず、ポートフォリオはそのまま維持している。

日本株関係の出来事といえば、シーボンの株主優待を妻が使ったのみであった。

(2008年9月18日~2013年7月5日)
総投資額 3,195,629円
時価    6,731,316円
通算利益 3,535,687円
投資利益率 +110.6%

年初までの通算利益 2,265,031円
本年の利益        1,270,656円

現在のポートフォリオは以下の通り。
基本的には、
①配当利回りの高さ
②業績の安定性
③指標の割安度
の順番に重視して、長期投資できるだけの信頼をおける銘柄に投資をしている。

(全32銘柄)

①株主優待系
サンマルクHD
キャンドゥ
ひらまつ
西松屋チェーン
スタジオアリス
イフジ産業
ビックカメラ
TAC
シダックス
シーボン
メガチップス
ダイユーエイト

②自動車部品系
三桜工業
リョービ
日本バルカー工業
安永

③商社系
住友商事
三菱商事
トーメンエレクトロニクス

④その他
DIC
フジ住宅
トラスト・テック
ローランド
レック
東栄リーファーライン
アイ・エム・アイ
エプコ
ジオマテック
ありがとうS
システナ
テクノホライゾン
極東証券

ユーロ売り/ドル買いの建玉は15,000円の含み益に。豪ドル売り/円買いの建玉は決済し7,777円の損失確定。

設定していたユーロ売り/ドル買いの建玉は、ポルトガルリスクが意識されたことと、米雇用統計の結果が良好だったため、15,000円ほどの含み益になった。
これについては、上手く予想がはまった形になった。
この流れはしばらく続くとみているため、建玉は維持することにした。

豪ドルは、RBA総裁のハト派的発言と豪ドル高警戒発言をRBA副総裁が補完したことで市場の誤解!?が是正されたようで、思ったほど豪ドルは下落しなかった。
上値も重いように思ったが、下値でのオプションバリアは強力で、大きな下落もなさそうに感じた。
豪ドルの大きな下落が起こるとすれば中国問題による下落だろうが、中国人民銀行が動いたことで、シャドーバンキング問題もマーケットの主題からは遠のいたようだ。
逆に、日本の参議院選挙が自民党の圧勝に終わる可能性が高いと思われ、政治安定による安心感から円安が進む可能性もあるとみて、豪ドル売り/円買いの建玉は損切りすることにした。
損失額がSWマイナスも含めて7,777円になっていたので、損切りの割には少し嬉しくなった。

2013年7月4日木曜日

最近の為替材料に関する考え。ユーロ売り/ドル買いを実施。

明日は雇用統計発表なので取引を手控えようと思っていたが、ポルトガル問題が思ったよりも深刻そうなのでユーロ売り/ドル買いの建玉(建値1.2984 逆指値1.3110)を設定することにした。
また、豪ドル売り/円買いの建玉(建値90.756 逆指値92.410)も維持している。

最近の材料に対する考え方は以下の通り。
基本的にはリスクオフの流れが強くなると読んでいる。

・ユーロ圏のポルトガル問題
⇒意外に長引きそうで深刻化しやすい
⇒短期的ユーロ売り要因

・ユーロ圏の若年失業率問題
⇒解決困難な問題で長期的に経済停滞のバックグラウンドになる
⇒長期的ユーロ売り要因

・米雇用統計
⇒最近の流れからいって堅調な内容が期待できる
⇒短期的ドル買い要因

・米国出口戦略
⇒米国金利がじわじわと上昇する
⇒長期的ドル買い要因

・中国景気減速問題
⇒中国はユーロ圏と経済的な結びつきが強い
⇒ユーロ圏景気悪化とシャドーバンキング問題からバブル崩壊懸念に至ると一気にリスクオフに
⇒中国と関係性の深い豪ドルは急落しやすい
⇒短期的豪ドル売り要因

2013年7月3日水曜日

ドル買い/円売りの建玉は設定していた逆指値に触れてしまい、損失確定。101.00円のオプションバリアが強力。

本日設定していたドル買い/円売りの建玉は設定していた逆指値に触れてしまい、10,280円の損失確定。

米国雇用指標関係は良かったものの、ポルトガル問題などで円高の流れが強まったのが誤算だった。
また、101.00のオプションバリアが思ったよりも強力だった。

円高影響の緩和措置で設定した豪ドル売り/円買いの建玉は3,000円ほどの含み益になっており、維持の方針。

ポルトガル懸念とRBA総裁の発言を踏まえ豪ドル売り/円買いを実施

米ドル買い/円売りの建玉は、ドル円が101.00円のオプションバリアに跳ね返されて下落したことで5,000円ほどの含み損になっているが、日足チャート上は問題がないため、逆指値の99.527に引っ掛からない限り維持することにした。

一方、ポルトガルの10年債利回りが8%台に急上昇したことで、リスクオフの流れとなり、円買いが強まっている。
この円高による影響を緩和するため、豪ドル売り/円買いを実施することにした。
豪ドルはRBA総裁の豪ドル高に不快感を示す発言も踏まえ、一定以上の上昇は起こりづらいと読んでいる。
逆指値は本日午前中の高値付近である92.410円に設定している。

結果、豪ドル売り/米ドル買いのポジションに近くなっている。

オリンパス事件とライブドア事件の判決及び処分の違い

2013年7月3日、オリンパスの粉飾決算事件に係る東京地裁判決で、金融商品取引法違反に問われた元オリンパス会長菊川被告らに対して、以下の判決が下った。

元会長 菊川剛被告       懲役3年 執行猶予5年 (求刑・懲役5年)
元常勤監査役 山田秀雄被告 懲役3年 執行猶予5年 (求刑・懲役4年6月)
元副社長 森久志被告      懲役2年6月 執行猶予4年(求刑懲役4年)
オリンパス(法人)          罰金7億円(求刑・罰金10億円)

また、監査法人や公認会計士への処分は以下の通り。
監査法人              実質的な御咎めなし
監査担当公認会計士       実質的な御咎めなし
企業評価を行った公認会計士 金融庁による業務停止3ヶ月の懲戒処分  

有罪判決となった被告の全員に執行猶予がついている。
このような判決を見るたびにライブドア事件の時の取り扱いとの違いが気にかかる。
ライブドア事件の粉飾金額は53億円であり、オリンパス事件の粉飾金額は最大で1178億円にものぼる。
しかもライブドア事件の粉飾は当時の会計基準に照らすとそもそも粉飾と断定できるかどうかすら微妙なものであったが、オリンパスの粉飾は長年にわたっており会計基準上も完全にアウトだ。
社会的影響は圧倒的にオリンパス事件の方が大きい。
菊川元会長らに情状酌量の余地があるとすれば、負の資産は前任の経営者たちから引き継がれてきたものであり、前任の経営者らは既に公訴時効となっていることだけだろう。


ライブドア事件の際の判決は以下の通りであった。
堀江貴文元社長     懲役2年6ヶ月
宮内亮治元被告     懲役1年2ヶ月
岡本文人元被告     懲役1年6ヶ月 執行猶予3年
熊谷史人元被告     懲役1年 執行猶予3年
中村長也元被告     懲役1年6ヶ月 執行猶予3年
ライブドア(法人)     罰金2億8千万円
ライブドアマーケティング(法人) 罰金4000万円

また、監査法人のその後と公認会計士への判決は以下の通り。
監査法人         検察当局の捜査を受け、監査業務を遂行できなくなり自主解散
監査担当公認会計士 (1審)懲役10か月 (2審)懲役1年 執行猶予4年

何と言っても、個人にとって、実刑か執行猶予付きかの差は絶大だ。
経済事件において、いかにライブドア事件が特異だったかは際立っている。

また、監査法人や公認会計士に対する処分・判決・社会的制裁についても、悪質度や節穴度に関してはオリンパス事件の方が大きいように思うが(会計基準上、完全にアウトとなる会計処理。明らかに不自然な金額のM&A報酬を含む巨額なのれん。また、会計監査人の交代までしている。)、やはり担当した監査法人である「あずさ監査法人」と「新日本監査法人」が大きすぎて処分しづらい(業務停止処分でも社会的影響が大きすぎる)ことと、ライブドア事件の特異性により、結果に差が出ているように思う。

RBA総裁は豪ドル高に不快感。方向性がわからず取引手控える。

昨日の豪州の政策金利は2.75%となり、引き続き過去最低水準の政策金利となったが、新たな利下げはなかった。

本日は豪州の貿易収支の結果が良かったこともあって、豪ドル買いが進んでいたが、RBA議長の豪ドル高に不快感を示す発言が伝わると、若干の下落が起こった。

しかし、RBA議長の発言内容は、今までのRBAの議事録と同一であり、特段の目新しさはないことから、下落は限定的になっているように思う。

<豪州貿易収支>
4月結果 1.71億AUD
5月予想 0.53億AUD
5月結果 6.70億AUD

今後の方向性は良く分からないため、私は取引を手控えている。

ドル買い/円売りを実施

米国金融緩和の出口戦略が意識されていることでドル買いが強まり、約1か月ぶりに100円を突破した。

この流れに乗って、以下の2点から、ドル買い/円売りの建玉を設定した。
・チャートをみると10日移動平均が25日移動平均と75日移動平均を上抜いている。
・101.00円に設定されているオプションバリアの突破を目指せる。

ドル買い/円売りは100.554で実施し、逆指値は99.527(昨日8時ごろに急騰して100円を突破する前の水準)に設定した。

「スタインウェイ・アンド・サンズ」がコールバーグに買収される

スタインウェイといえば、ピアノ好きであれば誰もが憧れる高級ピアノである。
素材が良く、素晴らしい響きを持つことで有名だ。

このスタインウェイを製造している「スタインウェイ・アンド・サンズ」を傘下に持つ「スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ」が米投資ファンドのコールバーグに身売りをすることになったようだ。
しかし、スタインウェイの経営悪化による身売りは今回が初めてではなく、以前にも個人投資家などによる売買を経て、現在の「スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ」の形態となっていた。

コールバーグはLBO(レバレッジド・バイアウト)を得意とする米国の著名な投資ファンドである。
投資ファンドの経営改善能力には疑いの余地がないが、ブランドの中のブランドであるスタインウェイの経営改善はどうであろうか。
スタインウェイは、高級素材を使用した手作りに特徴があり、いわば職人稼業である。
単純な合理化では、品質を落とすことになりかねない。

ピアノファンとしては、あまり大きな会社になって合理化を求められるよりも、本当の職人によって引き継がれていってもらいたいと思う。

2013年7月2日火曜日

三井不動産の経営戦略による強みを同業他社と比較

アベノミクスによって不動産市況が改善してきたことにより、三井不動産の業績も好調だ。
三井不動産社長の菰田正信氏のインタビューが日本経済新聞に載っていたので、目を引いた。

三井不動産は開発した物件を売却する収益モデルが特徴で、開発した物件をREITや海外投資家に売却することで、バランスシートを膨らませずに新規開発を継続できる。
一方で、不動産価格が上昇局面にある際には、開発物件を売却するよりも保有し続けた方が市況回復の恩恵を受けやすい面もある。

菰田社長によると、三井不動産は、バランスシートを膨らませずに財務的健全性を維持することを重視しているようだ。
また、金利上昇に備え、有利子負債の期間の長期化をすすめている。

実際に平成25年3月期の決算データを三社比較で見てみよう。

平成25年3月期の決算データ
(単位:百万円)  売上高   総資産    純資産  自己資本比率 総資産回転率
三井不動産   1,445,644  4,390,074  1,233,081    26.9%      0.32
三菱地所      927,157  4,711,521  1,366,011    26.3%       0.19
野村不動産    517,740  1,369,949   398,276    24.5%       0.37

まず、バランスシートの健全性を表す自己資本比率では、三井不動産に軍配が上がった。

次に、総資産回転率(売上高÷総資産)を算出すると、野村不動産が最も資産効率が良いことがわかる。
野村不動産に次ぐのが三井不動産となっている。
総資産回転率は数値が高いほど、資産が効率的に売上に結びついていることを示す指標だ。
また、総資産回転率が高ければ、開発物件の資産離れが良く、リスクを負わない体質といえる。

逆に三菱地所に関しては、総資産回転率は悪いものの、開発した物件を自ら保有しているため、不動産価格の上昇によるキャピタルゲイン部分を享受できる体制であることが分かる。

取りまとめると、3社には以下の傾向があると判断した。
・市況の変化に対応できる安全性と財務的健全性
1位 三井不動産
2位 野村不動産
3位 三菱地所

・不動産価格の上昇で得られるメリットの大きさ
1位 三菱地所
2位 三井不動産
3位 野村不動産



2013年7月1日月曜日

「豪ドル売り/米ドル買い」の建玉を決済し、利益確定

中国のシャドーバンキング問題と米国の景気指標の回復傾向を踏まえて、6月25日に仕掛けておいた「豪ドル売り/米ドル買い」の建玉を決済し、利益を確定した。

0.9277で売り建てし、0.9180で決済できたため、累計スワップのマイナスと相殺して、9,257円の利益確定となった。

決済理由は本日発表された経済指標に以下のような状況が見られたため。
①豪州のAIG製造業指数が5月が43.8に対して、6月は49.6と改善したこと
②ユーロ圏の経済指標が比較的堅調だったこと
③明日が豪州の政策金利の発表であること

この決済により、現在保有しているFX建玉はなくなった。