2013年7月15日月曜日

割安銘柄レビュー(ジオマテック)

ジオマテック株式会社は、薄膜加工技術の専門メーカー。
主力製品は、液晶パネル用帯電防止膜やタッチパネル用透明導電膜である。

真空状態にした成膜装置の中で基板上に薄膜を形成することにより様々な機能を持たせる「真空成膜技術」は、様々な製品に利用されており、今後も需要は多いはずだ。
スマートフォン、タブレット機器、太陽電池装置、カメラ、プロジェクター、電車窓、信号機、ETCなど、様々な製品に必要とされている。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)         売上高  経常利益  当期純利益
平成24年3月期         9,314    1,073      879
平成25年3月期         9,821     886      845
平成26年3月期予想     10,700    1,060     1,000

業績は比較的安定して推移している。
繰越欠損金があるため、今後の税負担が軽いことも追い風になるだろう。
現在は保守的な見込みから、繰延税金資産をほとんど計上していないため、今後業績が回復した時に繰延税金資産を再計上する楽しみがある。

セグメント情報は、真空成膜関連製品等の製造・販売を行う単一セグメントとなっており、記載されていない。
需要家の最終製品別での損益管理を見てみたいものだが、記載されていないのでは仕方ない・・・。

代わりに売上高上位の取引先を見てみよう。
(単位:百万円)           平成24年3月期    平成25年3月期
㈱日立ディスプレイズ            2,246          1,259
シャープ㈱                   976         10%以下
ソニーモバイルディスプレイズ㈱       965         10%以下

日立系、シャープ系、ソニー系への売上が大きいようだ。
しかし、平成25年3月期には、上位3社に対する割合は薄まっていることが分かる。
売上高に占める割合が10%以下となり記載が省略されてしまっているため、分析のしようがない・・・。

<注>
㈱日立ディスプレイズは㈱ジャパンディスプレイイーストに、ソニーモバイルディスプレイズ㈱は㈱ジャパンディスプレイイーストに社名変更後、平成25年4月1日に他社も含めて合併して㈱ジャパンディスプレイになっている。

ここで、シャープ向けの債権・債務を整理しておこう。

平成25年3月末時点で、シャープに対する売掛金が3,921百万円ある。
一方で、シャープに対する買掛金が3,952百万円ある。

シャープ向け債権の安全性には疑問が残るが、買掛金が同程度以上残されているため、万が一の場合でもジオマテック株式会社が大きな損害を被る可能性は低いだろう。
但し、シャープ向け売上高の減少という形で業績に影響を与えてくる可能性はあるので、注意が必要だ。


一部に分析できない項目もあったが、業績動向からみると、ジオマテック株式会社の今後には期待をできる状況であると思う。
薄膜加工技術は、様々な製品に応用されているため、今後も必ず必要とされてくる会社だ。

2013年7月12日の終値1005円に対して、配当予想は30円(2.98%)、予想一株当たり利益は119円(PER8.4倍)、一株当たり純資産は2077円(PBR0.48倍)となっており、指標面でも割安だと思う。

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