2013年6月29日土曜日

保有する日本株の利益は通算で327万円に

6月の最終営業日に日本株が上昇したこともあり、2008年9月18日に投資を開始して以来の日本株損益の通算は、以下の通りとなった。

(2008年9月18日~2013年6月28日)
総投資額 3,195,629円
時価    6,468,166円
通算利益 3,272,537円
投資利益率 102.4%

年初までの通算利益 2,265,031円
本年の利益        1,007,506円

現在のポートフォリオは以下の通り。
基本的には、
①配当利回りの高さ
②業績の安定性
③指標の割安度
の順番に重視して、長期投資できるだけの信頼をおける銘柄に投資をしている。

(全32銘柄)

①株主優待系
サンマルクHD
キャンドゥ
ひらまつ
西松屋チェーン
スタジオアリス
イフジ産業
ビックカメラ
TAC
シダックス
シーボン
メガチップス
ダイユーエイト

②自動車部品系
三桜工業
リョービ
日本バルカー工業
安永

③商社系
住友商事
三菱商事
トーメンエレクトロニクス

④その他系
DIC
フジ住宅
トラスト・テック
ローランド
レック
東栄リーファーライン
アイ・エム・アイ
エプコ
ジオマテック
ありがとうS
システナ
テクノホライゾン
極東証券

6月25日に仕掛けていた建玉(豪ドル売り/米ドル買い)は含み益になり当面維持の方針

2013年6月25日に仕掛けていた建玉(豪ドル売り/米ドル買い)は含み益になっている。

売りを仕掛けた時の単価は0.9277で、現在の単価は0.9143と、予想通り米ドルが上昇してくれた。

チャートを見る限りでは、当面豪ドル/米ドルのトレンド転換はなさそうなので、しばらくは建玉をこのまま維持しようと思う。
中国リスクによる豪ドル下落と金融緩和出口戦略及び好調な経済指標による米ドル上昇を予想している。

但し、来週は米雇用統計の発表で乱高下する可能性があるため、売り増しは控える予定だ。

逆指値は引き続き2013年6月14日高値付近の0.9670に設定している。

2013年6月28日金曜日

イフジ産業の株式分割で株主優待利回りが上昇

イフジ産業が1:1.5の株式分割を実施したことで、保有していた100株が150株になっていた。
単元株式数は引き続き、100株である。

早速本日の午前中に、単元未満株式となってしまった50株に売り注文を出し、後場の始値で約定した。
本日の株価に比べて不利な価格で約定はしておらず、単元未満株式買い取り請求をするのに比べ、手間が省けたと思う。

この結果、本日の終値488円×100株=48,800円の時価に対して、年間2回×3枚×100円=600円の株主優待(たまごギフト券)となる。
株式分割によって、優待利回りは1.2%まで上昇した。

平成26年3月期の配当予想は、一株当たり年間16円(中間8円、期末8円)となっており、本日の時価に対する予想配当利回りは3.2%となる。

予想配当利回りと株主優待利回りを合わせると4.5%となり、なかなかの高利回り銘柄である。

2013年6月26日水曜日

三桜工業の株主総会に出席

本日は、三桜工業株式会社の株主総会に出席した。

議長他の受け答えが良く、しっかりとした会社であることを再認識した。

最も収穫であったのは、今後の海外生産比率の方針の確認であった。

①自動車部品の中でも全長が長く、輸送が困難な製品を多く生産しているため、顧客(自動車メーカー)にできるだけ近い位置で生産をすることが効率的である。

②顧客が海外生産を拡大する限り、一緒に海外に出てゆくことになる。

③顧客の近くで海外生産を行っていた結果、円高に強い体質になった。

④今後も為替変動のことを考えるよりも、製品を効率的に販売できることを考える。

上記のように会社の方針は明確であった。

海外生産比率が高ければ、円高に強い反面、円安になった際の業績回復力では劣ってしまう可能性はある。
しかし、そもそも円安になれば取引先自動車メーカー各社の自動車販売台数が増えるであろうから、手堅く業績を伸ばすことは可能だろう。

比較的為替の影響を受けづらい優良銘柄として、今後も押さえておこうと思った。

株主総会のお土産のパウンドケーキも美味であり、満足のゆく一日であった。

中国金融問題と米国出口戦略を勘案し、豪ドル/米ドルに売り仕掛け

ここ最近、中国の金融問題が浮上している。
シャドーバンキングが絡んでいるとのことで、問題の根は深そうだ。
舵取りを誤れば、一気に経済が崩壊しかねない。
2013年6月25日に中国人民銀行が一部の金融機関に資金供給を行い、金利の安定化に乗り出したことで当面の小康状態は得られたと思うが、予断を許さない。

また、米国はQE3の出口戦略が示唆されるとともに、2013年6月25日に発表された耐久財受注、ケースシラー住宅指数、新築住宅販売件数などの経済指標が引き続き好調だ。

これらを鑑みると、中国問題による豪ドル安とQE3出口戦略及び米景気回復による米ドル高が期待できるのではないかと思う。

本日は豪ドル/米ドルに0.9277で売りを仕掛け、逆指値を2013年6月14日高値付近の0.9670に設定した。

2013年6月23日日曜日

ローランドの三木純一新社長に期待

株主総会シーズンで大量の招集通知が届き、開封に一苦労した。
今シーズンの招集通知にも様々な書類が同封されていたが、ローランドの新社長に就任した三木純一氏の文章に目がとまった。

ローランドは、電子楽器などで有名なメーカーだが、最近では利益を出しているのはプリンターなどを取り扱うパソコン周辺機器部門であり、電子楽器部門は赤字に陥っている。

最近のセグメント別の業績は次のような状況だ。
<平成24年3月期>
(単位:百万円)    外部売上  セグメント利益  
電子楽器事業      42,314    △1,036
PC周辺機器事業    32,510     1,908

<平成25年3月期>
(単位:百万円)    外部売上  セグメント利益  
電子楽器事業      39,889    △2,094
PC周辺機器事業    32,420     1,643

最近では、電子楽器事業は回復するどころか赤字が拡大しているのだ。
そして、ローランドは海外売上が多い会社だが、多少の円安になっても欧州景気が上向かなければ、パッとしない感じだ。
正直、売却を検討していた。

しかし、三木純一新社長の文章を見て、少し売却を思いとどまることにした。

<以下は、三木純一社長の文章より抜粋>
(前略)
近年、会社の成長に伴い、創業当初のベンチャー魂が薄れてきています。成功体験に縛られ、社内組織も硬直化し、お客様との距離が広がっていると痛感しております。このような問題に正面から向き合い、ローランド・ブランドを再び輝かせたい。その思いで、この4月に社長に就任させていただきました。
(中略)
決して縮小均衡を目指しているわけでも、ただ利益をだせばよいと考えているわけでもありません。私は技術畑出身です。製造ラインでの組み立てから始まり、品質保証、専用LSIの設計、サウンドデザインなどに携わり、電子ピアノやシンセサイザーなど、多くの製品をつくってきました。特にサウンドデザイン(音づくり)に関しては、一切妥協しない強いこだわりをもって取り組んできました。この、ものづくり、楽器づくりへの熱い情熱は、社長となった今も変わっていません。ローランドをどこにでもある会社ではなく、誰にとっても「オンリーワンのブランド」にしたいと強く思っています。新たな文化を生み出す、アーティスト、クリエーターの想像力を常に刺激するブランドであり続けたいと思います。
社長としての私の使命は、より多くの方に、聴いたり見たりするだけでなく、より積極的に音楽や映像で表現することの楽しみを広げていくことだと考えています。
(中略)
電子楽器はまだまだ成長していくことが可能です。
(略)
<以上は、三木純一社長の文章より抜粋>

この文章を読んで、ものづくりの原点を見るような気がした。
私自身、下手の横好きではあるがピアノをやっていて、電子ピアノを自宅に置いている。
なんとなく、ローランドと三木社長の目指す音楽シーンの発展、さらなる進化を遂げるであろう電子楽器、を応援してみたくなった。

少し配当金額には不満だが、もう少し待ってみることにしよう。
良いものづくりが、いずれは業績回復にもつながることを信じて。

株主総会シーズン

先週から3月決算会社の株主総会が本格化している。
3月決算会社の株主総会は6月の末頃が一般的だ。

この時期は、自宅に届く招集通知や決議通知の開封だけでも一苦労。

株主総会は経営陣の生の声を聞ける貴重な場。

今週は仕事の合間を縫って、株主総会に出席することにしよう。

2013年6月22日土曜日

低PBR銘柄レビュー(ローランド)

ローランド株式会社は、電子ピアノなどの楽器やプリンターが主力。
2013年6月21日の終値966円に対して、一株当たり純資産が1,760円あるため、PBRが0.55倍と低PBR銘柄となっている。

低PBR銘柄となっている理由は、実質無借金で多額の資産があるにもかかわらず、リーマンショック後は思うように利益が出ていないためだ。
特に欧州の景気動向による悪影響が強い。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)      売上高  経常利益  当期純利益
平成24年3月期      74,825    136     △1,930
平成25年3月期      72,310   △754     △4,086
平成26年3月期予想   81,200   3,100         0

思うように利益が出ておらず、平成26年3月期予想も最終赤字解消が目標となっている。

セグメント別売上高は以下の通り。

<平成24年3月期>
(単位:百万円)    外部売上  セグメント利益  
電子楽器事業      42,314    △1,036
PC周辺機器事業    32,510     1,908

<平成25年3月期>
(単位:百万円)    外部売上  セグメント利益  
電子楽器事業      39,889    △2,094
PC周辺機器事業    32,420     1,643

電子楽器事業は状況が悪化している。
パソコン周辺機器事業も減速傾向にある。

地域別売上高は以下の通り。

(単位:百万円)   日本   米国   欧州   その他
平成24年3月期  13,287  16,511  25,000   20,025
平成25年3月期  13,241  16,339  22,862   19,865

やはり経済不況の欧州が振るわない。

以上から、円安効果はあるだろうが、欧州の景気が悪いうちは本格回復にはならなそうだ。
想定レートは米ドル90円、ユーロ120円であり、これよりも円安になればその恩恵はあるだろう。
しかし、為替円安効果以上の業績改善は見込めなそうだ。

花王の営業利益率が上昇傾向も今後はアジア市場次第か

化粧品や洗剤などで有名な花王株式会社は、営業利益率を10%程度まで高めてきている。

<営業利益率の推移>
(単位:百万円)        売上高    営業利益   営業利益率
平成22年3月期       1,184,384    94,033      7.9%
平成23年3月期       1,186,831    104,591      8.8%
平成24年3月期       1,216,096    108,590      8.9%
平成24年12月期      1,012,595     101,567     10.0%
平成25年12月期予想   1,270,000     116,000      9.1%

※平成24年に決算期を変更している(平成24年12月期は9カ月分)。

花王の営業利益率は順調に高まってきている。
しかし、目標とするP&Gの利益率は16%程度であり、世界基準までにはまだかなりの開きがある。

営業利益の向上にはアジア市場のさらなる開拓が必要だろう。
特にインドネシア市場の成長がポイントになりそうだ。

中国内陸部の開拓には時間がかかりそうだ。
中国の経済減速も明らかなため、上手く営業利益率を高めてゆけるかどうか、手腕が問われるところだろう。

米国の失業率の推移とQE3出口戦略

2013年6月19日にFRBのバーナンキ議長が、QE3を年内に縮小して来年半ばに終える可能性を示したことで、米国株式市場は続落し、為替は円安ドル高で反応した。

米国の金融緩和縮小観測により、米の株価が下落し、ドル高になったことは、セオリー通りの反応と言える。

FRBは今後も足元の経済状況をみながら、金融緩和縮小を現実に移してゆくことになるだろう。

しかし、バーナンキ議長の目標とする失業率は6%程度であり、金融緩和縮小の目安となる失業率は7%程度と考えられる。
米国の失業率の推移は以下のようになっており、改善傾向にはあるものの、未だに目標値には遠い。

<米国失業率推移>
2011年1月9.0%

2012年1月8.3%

2013年1月7.9%
2013年2月7.7%
2013年3月7.6%
2013年4月7.5%
2013年5月7.6%

金融緩和縮小により改善傾向にある失業率が逆行してゆくようになれば、出口戦略は計画通りに進まないことになるだろう。

高配当銘柄レビュー(日本バルカー工業)

日本バルカー工業は、自動車・プラント・建機向けの工業用シール材料が主力の会社。
シール材料の種類が豊富なほか、配管材料・電子材料・樹脂など、幅広く様々な材料を取り扱っている。

2013年6月21日終値235円に対し、平成26年3月期の予想配当は10円(中間5円・期末5円)であり、配当利回りは4.2%と高い。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高   経常利益  当期純利益  自己資本比率
平成24年3月期     38,633     2,704     1,737      58.8%
平成25年3月期     37,778     1,355      837      55.8%
平成26年3月期予想  39,000     1,900     1,100

取り扱い分野が幅広いこともあり、業績動向は比較的安定しているといえる。
自己資本比率も安全性の目安の50%を超えており、配当の維持継続性についてある程度は期待できるだろう。

一方で、一株当たり当期純利益と配当額の関係は以下のようになっている。
(単位:円)         一株当たり利益  一株当たり配当
平成24年3月期         19.66         8.00
平成25年3月期          9.48        10.00
平成26年3月期予想      12.45         10.00

会社の配当方針は、連結当期純利益の50%を株主還元する方針と記載されているため、現状は会社の配当方針以上の配当が出る予定となっている。
株主還元に積極的であることが評価できるが、業績下振れの際には減配を意識する必要がありそうだ。

セグメントごとの業績動向は以下の通り

<平成24年3月期>
(単位:百万円)  外部売上  セグメント利益  セグメント資産
シール製品     28,995      2,922       23,059
機能樹脂製品    8,497          3         7,038
環境関連       1,141      △316        4,807

<平成25年3月期>
(単位:百万円)  外部売上  セグメント利益  セグメント資産
シール製品     27,501      1,785       22,483
機能樹脂製品    7,371      △177        7,122
環境関連       2,905      △368        4,203

シール製品事業は、自動車関連や海外プラント向けが堅調だったが、国内プラント・半導体関連・産業機械向けが振るわずに減収・減益となっている。

機能樹脂製品は、半導体関連や中国向けが振るわずに、こちらも減収・減益となっている。

環境関連事業が増収となっているのは、前期から機能膜事業を中心とする新規連結子会社もあり、環境をキーワードとする事業展開を行っているため。
しかし、こちらもセグメント利益を確保するには至っていない。

当面の間はシール製品事業に頼ることになりそうだ。
シール事業については、自動車関連の伸びや国内設備投資の回復に伴う国内プラント向けが期待できそうである。

2013年6月17日月曜日

高配当銘柄レビュー(フジ住宅)

フジ住宅は、大阪が地盤の住宅販売会社。
分譲住宅は自由設計を強みにしている。
土地有効活用事業では賃貸住宅の建築請負を行っている。

平成25年6月14日の終値629円に対して、平成26年3月期の一株当たり配当予想は26円(中間13円、期末13円)となっており、予想配当利回りは4.1%と高い。
一株当たり当期純利益の予想は91円でこちらも高水準だ。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高  経常利益  当期純利益
平成24年3月期     71,594    4,903     2,767
平成25年3月期     66,047    3,761     2,268
平成26年3月期予想  80,000    5,300     3,240

安定して利益が出ており、平成26年3月期は過去最高益をうかがう勢い。
但し、有利子負債が多く、平成25年3月期の自己資本比率は27.5%と目安の50%を下回っている。
今後の業績動向に注意が必要だし、有利子負債が多いため金利の上昇にも注意が必要である。

セグメント別に業績動向を見ておこう。

<平成24年3月期>
(単位:百万円)  外部売上  セグメント利益  セグメント資産
分譲住宅       28,189     3,226       38,022
住宅流通       27,852     1,235        8,294
土地有効活用     7,316      862        2,138
賃貸及び管理     7,860      428        3,335
注文住宅         375     △31         137

<平成25年3月期>
(単位:百万円)  外部売上  セグメント利益  セグメント資産
分譲住宅       24,626     2,131       44,328
住宅流通       21,737      561       13,486
土地有効活用    10,744     1,575        1,744
賃貸及び管理     8,564      453        3,259
注文住宅         373     △77         218

分譲住宅事業は、リーマンショック直後に仕入れた利益率の高い物件が少なくなったため、セグメント利益が減少している。
しかし、消費税増税の駆け込み需要が平成26年3月期には追い風になりそうだ。
新規投資によりセグメント資産も増えており、平成26年3月期に投資成果を期待したい。

住宅流通事業は、良質な中古住宅の仕入競争が激しく、セグメント利益が減少している。
セグメント資産の増加は、フジホームバンク堺店の新設・移転の影響と思われる。
来期は、投資の成果が見込めるかどうか注目だ。

土地有効活用事業は、平成24年3月期末に受注残が多く、平成25年3月期は受注残を消化した形だ。
平成26年3月期は、反動減が厳しいか。

全体としてはアベノミクスや消費税増税による駆け込み需要など、平成26年3月期はプラス要素が大きそうだ。
一方で、土地のインフレ状況や金利の状況など、マクロ経済の動向に大きく影響を受けそうであるため、注意が必要だ。



豪ドルは今週も軟調に推移か

RBAの目標よりもGDP統計が下回っていることや中国経済の減速懸念から、豪ドルは下落傾向にある。
RBAの緩和スタンスは明確になってきており、既に政策金利は2.75%と過去最低水準まで引き下げられている。

今週、2013年6月18日には、RBA理事会の議事録が公表されることになっており、さらなる追加利下げが示唆されるようだと、引き続き豪ドルは軟調に推移するものと思われる。

2013年6月16日日曜日

高配当銘柄決算レビュー(システナ)

株式会社システナは主に、モバイル端末ソフトの開発支援・品質評価やインターネットビジネス企業向けのシステム開発を行っている企業。
IT関連サービスを幅広く手掛けており、企画・設計から保守・ユーザーサポートまでのトータル・ソリューション・サービスを展開している。

平成26年3月期の配当予想30円(中間15円・期末15円)に対して、平成25年6月14日の終値は730円であり、予想配当利回りは4.1%となっている。


最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高  経常利益  当期純利益
平成24年3月期     30,630    1,918     904
平成25年3月期     31,662    2,292    1,203
平成26年3月期予想  32,076    1,931    1,075

最近の業績動向は安定している。
以下で主な事業毎の業績を見てゆこう。

<平成24年3月期>
(単位:百万円)       外部売上  セグメント利益  セグメント資産
 
ソリューションデザイン    12,431     1,511       3,613
ITサービス            4,916       76       1,426
ソリューション営業       13,028       320        4,968
クラウド               246       25         51
コンシューマサービス        6     △111        68

<平成25年3月期>
(単位:百万円)       外部売上  セグメント利益  セグメント資産
 
ソリューションデザイン    13,343     1,570       3,646
ITサービス            4,403      375       1,293
ソリューション営業       13,580      334       4,340
クラウド               330       20         85
コンシューマサービス        5      △72         65

主力のソリューションデザイン事業で、利益の大部分を稼ぎ出している。
ソリューションデザイン事業では、スマートフォンやタブレット端末に係る開発工程全般の受注やLTE基地局や端末の品質検証が伸びている。
また、システム開発も堅調である。
一方で、金融機関向けが不採算案件の発生もあり苦戦しているようだ。

ITサービス事業は、営業展開が成功して利益率が向上している。

ソリューション営業事業は、システムインテグレーションの営業展開の成功とPC販売台数増加により利益が微増している。

クラウド事業は受注が伸びているものの、これからのようだ。

また、コンシューマサービス事業はスマフォ向けのゲーム開発を行っているが、これからのようだ。

以上から、全体としてはIT関連の万屋のような事業展開が相乗効果を生んで成功している。
これが業績動向が安定している理由だろう。
今後とも成長可能性があり、配当を維持してくれる可能性が高いのではないだろうか。








2013年6月15日土曜日

仕組債の主な商品設計と自治体等に求められる資金管理体制の強化

仕組債とはオプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ債券で、受取利息が為替変動の影響を受けるものが多い。

良く見る仕組債の商品設計は、円安時には高利回りで、円高時には低利回り(又はゼロ金利)になるもので、期間が長期に渡るものだ。
円高によりゼロ金利になってしまうと、満期日までの期間が長期に渡るために、時価が猛烈に下落する特徴を持っている。
一方で、一定以上円安になると強制償還されるものが多い。

この仕組債はリーマンショック前の円安時に大量にばらまかれており、リーマンショックによる円高で多額の含み損を抱える企業・自治体などが続出した。

兵庫県朝来(あさご)市は、仕組債を購入したことで一時15億7400万円の含み損となり問題となっていた。
一転、アベノミクスによる円安により、反対に利益が出る結果となったようだ。

しかし、この問題の本質は、リスクを十分に理解することなくハイリスクな金融商品を購入してしまった市の甘い内部統制にある。
含み損の発生時には金融機関2社を相手取って損害賠償訴訟まで提起している。
そもそも金融商品に無知なままにハイリスクな金融商品を購入してしまっているという、勉強不足、内部統制の甘さ、そしてその責任を忘れてはならないだろう。
重要な基金を運用する自治体等は資金管理体制の強化が必要だろうし、結果的に利益が出たとはいえ資金運用に関わった関係者は猛省が必要のはずだ。

高配当利回り銘柄レビュー(東栄リーファーライン)

東栄リーファーラインは、超低温冷凍マグロ運搬の漁船主をサポートするリーディングカンパニーである。
蓄養マグロの船上加工、洋上給油、漁具や資材の補給・輸入代行など、マグロ漁全体を一貫して支援するサービスを提供している。
冷凍船でのマグロ運送と貿易事業(機械・漁具・餌)が主な事業である。

平成25年6月14日の終値が250円であるのに対し、平成25年度の一株当たり配当予想は10円(期末一括)となっており、配当利回りは4%である。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高  経常利益 当期純利益 一株当たり配当金
平成24年3月期     11,384   △180    △765        0円
平成25年3月期      9,318    272      201       10円
平成26年3月期予想   8,100    200      120       10円

業績は安定しているとは言えないが、黒字転換後にすぐに復配している点が評価できる。
改善施策が成功して、黒字に転換している。

<自己資本比率分析>
最近の自己資本比率の推移は以下の通り。
平成24年3月期 28.8%
平成25年3月期 30.6%

借入金が多いため、自己資本比率は目安の50%を割っており、財務的な安定性はあまり高くない。

<固定長期適合率分析>
最近の固定長期適合率(固定資産/固定負債+自己資本)の推移は以下の通り。
平成24年3月期 65.6%
平成25年3月期 70.8%

固定長期適合率は目安となる100%を下回っており、固定資産は概ね固定負債と自己資本で賄えているといえる。
この点から財務的安定性に必要以上の心配は不要である。

<セグメント情報分析>
主なセグメントの業績動向は以下の通り。

(平成24年3月期)(単位:百万円)
            外部売上 セグメント利益 セグメント資産
海運事業       4,479      61        4,168
貿易事業       2,933      98        2,967
洋上給油事業    3,581      76         884
船舶貸渡事業     387     △88         2,183

(平成25年3月期)(単位:百万円)
            外部売上 セグメント利益 セグメント資産
海運事業       3,363     548        4,432
貿易事業       2,678      68        2,580
洋上給油事業    2,857     101        1,252
船舶貸渡事業     414     △70        2,044

海運事業の売上高の減少は、4隻の傭船形態の変更によるものである。
しかし、超低温冷蔵船1隻を海外大手水産会社とタイアップして、安定的な積荷確保を達成している。
また、洋上転載業務の効率化や燃費を重視した最適運航などの「改善施策」が成功したため、セグメント利益が急回復している。
やはり主力事業の急回復は、業績全体に与える影響が大きく、評価できる。

貿易事業については、輸入冷凍餌販売において計画どおりの輸送手段確保ができず、一部の取引が次期に繰り越されたようだ。
また、一部の商品に評価損発生している。
このため、セグメント利益は減少しているが、平成26年3月期は繰り越された取引の分だけ期待できるだろう。

洋上給油事業についても、販売数量が減少して売上高が減少しているが、効率配船によりセグメント利益は増益となっている。

船舶貸渡事業については、傭船料収入がUSドル建てであり、為替の影響を受けている。
平成26年3月期は、円安による回復を期待したい。

全体としては減収・増益傾向が鮮明であり、構造改革が進展したことで、平成26年3月期にも期待できるのではないだろうか。


2013年6月14日金曜日

豪州の平成25年5月失業率が発表

昨日は豪州の5月の失業率が発表された。
5月の失業率は、市場予想の5.6%に対して、結果は5.5%と良好な結果となった。

最近の豪州失業率の推移は以下の通り。

平成23年1月 5.0%

平成24年1月 5.1%

平成25年1月 5.4%
平成25年2月 5.4%
平成25年3月 5.6%
平成25年4月 5.6%
平成25年5月 5.5%

失業率は悪化傾向にあるが、平成25年5月は少し持ち直したことになる。

しかし、中国経済の悪化懸念が大きく、今後も失業率は弱含みに推移するのではないかと思う。

2013年6月12日水曜日

株主優待銘柄レビュー(イフジ産業)

イフジ産業株式会社は、製パン・製菓用の液卵・冷凍卵が主力で、卵の加工を行っている会社。
即席麺用の調味料も手掛ける。

2013年3月の株主優待は年2回、3月と9月に権利確定するたまごギフト券(1枚100円)。
全国の主なスーパー・百貨店で利用可能だ。
100株以上保有で3枚、1000株以上保有で12枚が贈られる。

最近の業績の動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高   経常利益  当期純利益
平成24年3月期     10,807     817      433
平成25年3月期     10,657     825      532
平成26年3月期予想  11,179     864      510

業績は安定しているが、卵の相場変動により影響を受ける。
鶏卵の相場が上昇すると売上・仕入ともに増加する。
鶏卵の相場が下落すると売上・仕入ともに減少する。

現在のところは上手く差益を確保する努力が奏功しているようだ。


主な報告セグメントの状況は以下の通り。

<平成24年3月期>
(単位:百万円)   外部売上   セグメント利益  セグメント資産
鶏卵関連事業     9,516       675         7,094
調味料関連事業    1,272       123          998

<平成25年3月期>
(単位:百万円)   外部売上   セグメント利益   セグメント資産
鶏卵関連事業     9,493       686         7,027
調味料関連事業    1,143        90          928

セグメント別に見ても、両事業が安定して利益をあげている。

以上から、株主優待の継続性は高いといえそうだ。


一株当たり配当金の推移は以下の通り。
平成24年3月期    年間22円
平成25年3月期    年間25円
平成26年3月期予想 年間16円

平成26年3月期の配当予想が減少しているのは、1株を1.5株に分割することが決定しているためである。
この分割の影響があるため、実質的な減配とはならない。

分割の影響も考慮すると、2013年6月11日の終値764円に対する配当利回りは3.1%程度となる。
これに加えて株主優待があるため、安定的かつ利回りは良好の銘柄と言える。

注意点をあげるとすれば、鶏卵相場の動向だろう。





2013年6月11日火曜日

南アフリカ4月製造業生産が発表

南アフリカの4月製造業生産が本日発表された。

        前回   今回
前月比   △2.5%  8.4%
前年比   △2.2%  7.0%

4月の製造業生産は、前月比8.4%、前年比7.0%と急激に回復している。

これにも係らず南アフリカランドの戻りは鈍い。

やはり1QGDPの結果が悪かったことが尾を引いているか。
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/05/blog-post_29.html

中国経済指標が不調で豪ドルは軟調

2013年6月9日に発表された中国の経済指標はいまいちの内容が多かった。

 
 
                     前回     今回
消費者物価指数          2.4%     2.1%
人民元建新規融資(5月)    7929億元  6674億元 
鉱工業生産(前年比5月)     9.3%     9.2%
小売売上高(前年比5月)    12.8%     12.9%

消費者物価指数が下落しておりインフレペースは緩んでいるようだが、鉱工業生産が弱まっているのが痛い。

中国への資源輸出の多い豪州であるから、豪ドルは軟調に推移している。

S&Pが米国格付けを引き上げ「AA+」安定的へ

2013年6月10日、S&Pが米国格付けを「AA+」「安定的」に引き上げたことで、ドル円が上昇した。

2011年8月にS&Pは米国格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げ、格付け見通しを「ネガティブ」としていたが、今回は格付け見通しを「安定的」に引き上げたことになる。

理由は「財政の崖」に代表される財政問題に一定の目処がついたからだ。
政府債務は対GDP比が重要であるが、最近の好調な米経済指標を鑑みると、暫くは政府債務の対GDP比は84%程度で安定し、モラトリアムを得られるようだ。

財政問題そのものが解決したわけではないが、米国経済が回復軌道に乗ってきていると格付会社も判断した模様だ。

2013年6月9日日曜日

株主優待銘柄レビュー(サンマルク)

サンマルクホールディングスは、サンマルクカフェや各種レストランを運営している。
ベーカリーレストラン・サンマルクでは、焼き立てパンの食べ放題が魅力で、比較的リーズナブルな値段でコース料理も食べられる。

平成25年3月の株主優待は、年1回3月に権利確定し、100株以上保有の株主に株主優待カードが贈られる。
有効期間は7月~6月で、カードを提示すると以下の割引が特典となる。

<20%割引>
ベーカリーレストラン・サンマルク
ベーカリーレストラン・バケット
サンマルクカフェ
BISTRO309
生麺工房 鎌倉パスタ
サンマルクパスタ
広東炒飯店
石焼きごはん倶楽部
台湾小籠包
あっぱれ讃岐

<10%割引>
すし処函館市場
何回行ってもカードを提示すれば割引してもらえるので、良くお店を利用する人にはお勧めである。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高 経常利益 当期純利益 自己資本比率
平成24年3月期     44,728   7,009    3,608     77.8%
平成25年3月期     48,796   6,659    3,590     79.0%
平成26年3月期予想  54,780   7,300    3,911

業績はとても安定している。
また、無借金経営であり、自己資本比率は安全性の目安となる50%を大きく上回っている。

株主優待の継続性は高いと言えるだろう。

株価は上昇傾向にあり、平成25年6月7日の終値は4,365円であるため、単元株(100株)の購入には436,500円が必要である。

予想1株あたり利益が345円で、予想1株当たり配当は98円となっている。
この配当に加えて上記優待券があるため、ある程度お店を利用すれば、かなりの配当利回りになるだろう。


アベノミクス3本の矢で最も重要な成長戦略

アベノミクスは、マーケットに大変動を引き起こし、金融緩和が最もクローズアップされています。
しかし、アベノミクスで最も重要なのは3本の矢のうちの3本目の成長戦略です。
アベノミクス3本の矢の内容をもう一度振り返っておきましょう。

<1本目の矢>大胆な金融緩和政策
日銀が民間銀行の保有する国債を購入することなどによりマネタリーベースを増やしています。
目標はマネタリーベースを従来の2倍にすること。
これによりデフレを脱却し、インフレターゲット2%の達成を目指します。
以下(マネタリーベース2013年5月)で確認できるように実際にマネタリーベースは急激に増えています。
http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/mb/base1305.pdf

しかし、インフレターゲット政策はインフレを抑え込むために考えられてきたもので、デフレをインフレにしようとするのは世界で初の試みであり、急激な相場変動をはじめとした副作用も心配されています。

<2本目の矢>機動的な財政政策
国が赤字国債を発行して公共事業を行う政策です。
これにより需要を生み出して経済を活性化します。
乗数効果が高ければ、税収に跳ね返ってきて、有効な政策になりえます。

<3本目の矢>成長戦略
一番重要なのは、実体経済を良くする成長戦略です。
成長戦略とは聞こえはいいですが、具体策となると本当に難しい。
規制緩和により民間企業の自由度を増したり、税制で設備投資を後押ししたりすることが考えられているようです。

実体経済の成長に最も重要なのはイノベーションです。
従来の方法論を革新して、新たな価値を創造するイノベーション。
特に製造業でイノベーションをさらに促進し、世界に新しい価値をもたらすことが日本経済に求められていることだと思います。

株主優待銘柄レビュー(シダックス)

シダックス株式会社はカラオケで有名だが、給食事業も手掛けている。
同社は株主優待が魅力の銘柄だ。

シダックスの株主優待は、2013年3月(年1回)に権利確定分で、
100株以上⇒レストランカラオケ割引券525円×5枚=2,625円
500株以上⇒レストランカラオケ割引券525円×25枚=13,125円
と充実している。

以前はより優待金額が高額であったが、ルーム料金のみで飲食には使えないという優待券であった。
現在は優待金額が少額になったものの、飲食にも使えるようになった。

2013年6月7日の終値は450円であり、100株の購入で45,000円、500株の購入で225,000円とさほど単元株の購入代金は高くない。
株主優待利回りだけで6%近く、普通配当と株主優待を合わせたリターンはかなりのものだ。

最近の業績動向は以下の通り。

(単位:百万円)     売上高  経常利益 当期純利益 自己資本比率
平成24年3月期     188,244   4,853     781      22.7%
平成25年3月期     186,185   5,253    2,658      26.7%
平成26年3月期予想  192,000   5,300    2,000

最近の業績動向は安定しているが、自己資本比率は30%を割っており、安全性が高いとは言えない。
一般的に財務安全性が高いと言われる自己資本比率の目安は50%である。

最近のキャッシュ・フローの動向は以下の通り。
(単位:百万円)  営業CF  投資CF  財務CF
平成24年3月期  13,416   △2,225  △10,474
平成25年3月期  10,104   △1,384  △6,036

営業CFが良好であり、有利子負債の返済が進んでいる。
このペースを保っていれば、財務上の問題が顕在化することはないだろう。

残りの有利子負債の主なものは以下の通り。
1年内返済の長期借入金 12,847百万円
長期借入金 15,147百万円
社債(長期) 2,260百万円

現在の営業CFを保っていれば、財務上の問題が顕在化はせず、当面の間は株主優待に被害が及ぶこともないように思う。

スマフォ部品会社は夏に復調か

2013年1月~3月期は、iPhone5の販売が想定よりも伸びず、スマフォ部品会社の景況感は悪かった。
しかし、2013年4月以降、スマフォの出荷で世界首位のサムスンがギャラクシーS4を発売したことで潮目が変わったようだ。
サムスンはスマフォ部門の急成長により、部品の外部調達を増やしている。

2013年7月~9月期のスマフォ部品各社の受注状況は良好のようだ。

しかし、どのスマフォ部品メーカーが、サムスンとアップルのいずれに部品を供給しているかには注意が必要だ。
この業界は需要変動の波が激しく、取引先の状況によって大きく影響を受けるだろう。

2013年6月8日土曜日

米雇用統計は強弱分かれ、FRBは緩和継続か

昨日は世界で最も注目される経済統計である米雇用統計が発表された。

非農業部門就業者数は、前月比17万5000人増となり、前月の14万9000人増(改定値)から改善した。
失業率は7.6%となり、前月の7.5%から0.1%悪化した。

雇用統計が改善し米国経済の回復基調が鮮明になれば、今月にも米連邦準備制度理事(FRB)が緩和縮小に動くとの観測もあった。
しかし、米雇用統計の強弱が分かれたことで、当面は緩和が継続されるのではないかとの見方が主流だ。
やはりこの結果では、FRBとしても米国経済が金融緩和なしで回復軌道に乗ったとの判断まではできないだろう。

マーケットは短期筋の動きで乱高下。
結果としては緩和継続の見方により、ダウ工業株30種平均は、前日終値比207.50ドル高の15248.12ドルとなり、上げ幅は1月2日(308.41ドル)以来約5カ月ぶりの大きさとなった。

為替についても、ドル円は94円台まで急騰後に97円台まで急落するという展開であった。
FRBによる緩和継続か緩和終了かについてのマーケットの見方が、雇用統計が強弱分かれたことで混乱したようだ。

税制改正スケジュールを前倒し 各国の法人実効税率を比較

翌年度の税制改正の作業は例年11月頃からスタートするが、平成26年度税制改正作業については2ヶ月間前倒しをして9月に着手する方針を自民党が固めたようだ。

成長戦略に具体性がなく批判が出てきている中で、設備投資減税などの企業に追い風となる税制改正に早期に取り組む狙いだ。
菅官房長官は、世界と競争できる環境にするため、法人実効税率の引き下げも議論になるとの見通しを示している。

近年の税制改正は、ねじれ国会になっていたことにより、なかなか決まらなかった。
ようやく税制改正スケジュールは正常化してゆくことになる。

法人実効税率については、平成23年度12月改正で約5%引き下げられたばかりだ。
法人実効税率をさらに引き下げる場合、所得税を課税強化する方向に進まないか心配だ。
これは、ますます企業と個人との間での格差を助長しかねない(企業はお金持ちだが、社員の給料は少ない)。
そして、相続税・贈与税・固定資産税などの資産に係る税金や消費税は、課税強化されてもやむを得ないだろう。

一方で国際競争の観点からは、各国の法人実効税率を見ておく必要があるだろう。
データは財務省のHPより抽出した(2013年1月時点のデータ)。

日本   35.64%
アメリカ 40.75%(カリフォルニア州)
イギリス 24.00%
ドイツ   29.55%(全ドイツ平均)
フランス 33.33%
中国   25.00%
韓国   24.20%(ソウル)
シンガポール 17.00%

アメリカこそ日本よりも法人実効税率が高いものの、日本と輸出競争を繰り広げる各国の法人実効税率は日本よりも低い。
引き続き輸出立国を目指すのであれば、法人実効税率を下げなければいけないという論調にも説得力がある。

2013年6月4日火曜日

自動車部品会社決算レビュー(三桜工業)

三桜工業株式会社は、20カ国58箇所に生産拠点を有する自動車部品会社。
自動車用の各種チューブや集合配管などを製造している。

最近の業績は以下の通りである。
(単位:百万円)      売上高   経常利益   当期純利益
平成24年3月期      76,100    2,853        856     
平成25年3月期      92,044    3,339       1,629
平成26年3月期予想   108,000    4,600       2,300

海外に生産拠点を有するため、円高にも強かったことが分かる。
平成26年3月期は取引先自動車メーカーの増産により売上増加が見込める。

セグメントごとに内容を見てゆこう。
三桜工業は地域別にセグメントを区分している。

<平成24年3月期>
(単位:百万円)    外部売上  セグメント利益  セグメント資産
日本            41,962      2,571       49,581
北南米          16,845       198        12,212
欧州            3,447      △51        2,660
中国            5,320       271        6,462
アジア           8,527        520        5,987

<平成25年3月期>
(単位:百万円)    外部売上  セグメント利益  セグメント資産
日本            41,013     3,032       46,384
北南米          27,921     △139        16,504
欧州            4,499       244        2,872
中国            6,496      △75        7,307
アジア          12,115       994        8,704

特に北南米での売り上げ増加が大きい。
これは新規受注製品があったためだが、その立ち上げ費用がかかりセグメント利益はマイナスとなっている。
北南米は設備投資が行われ、セグメント資産も大幅に増加している。

全体的に売り上げが伸びているが、セグメント利益が最も大きいのは日本市場。
日本ではエコカー補助金の反動減が依然として尾を引いているが、景気の持ち直し期待から平成26年3月期は伸びてくる可能性が高いだろう。

アジアも軌道に乗っており、今後の期待は大きい。

RBAは金利を据え置き

RBA(オーストラリア中央銀行)は「インフレ率が金融緩和の余地を与える可能性」及び「為替レートが輸出価格の下落を考慮すると高いこと」については言及したものの、政策金利を2.75%に据え置いた。

前回の政策金利の引き下げをマーケットは若干驚きをもって受け止めたが、今回は引き下げが続かなかったことで、豪ドルは底堅く推移している。

米国の金融緩和により既にドルの量は従来の3倍になっており、日本の金融緩和により円の量は従来の2倍になる。
金融政策の側面からは今後も豪ドル高になりやすいだろう。

中国の統計に対する不信への対策

中国経済は世界経済のエンジンとも呼ばれ、多大なる影響力を持つようになりました。

その肝心の中国経済の統計が粉飾されているのではないかとの指摘があります。
特に輸出やGDPの統計に不整合と思われるような例が多いようです。

このような中で対策としては以下の方法があげられます。

①相手国の輸入統計を参考にする方法
日本、韓国、台湾などの対中国の輸入統計を参考にする方法です。

②A株相場を参考にする方法
A株とは上海と深センに上場する株式の種類で、中国国内の投資家と一部の外国証券会社のみに取引が制限されているものです。
国内の投資家を中心とするマーケットですので、景気動向の参考になります。

③中国人民銀行のマネーサプライを参考にする方法
中国は景気を失速させないために金融政策にはとても気を使っています。
このため、中国人民銀行のマネーサプライは、景気動向の参考になります。



米ISM製造業指数が50割れ

アメリカのISM製造業指数が50を割れたことで、ドル円は下落、100円台を維持できなかった。
クロス円の下落は大きくないため、マーケットは単純なドル安として反応したようだ。

ISM製造業指数は製造業の景況感のアンケート結果で、景気先行指標として知られる。
50を上回ると景気拡大局面、50を下回ると景気後退局面と言われる。

今回のISM製造業指数は50割れの結果となったが、アメリカの直近の指標は強弱がまちまちで方向性は良く分からない。
やはり米景気の動向を探るには週末の雇用統計を確認する必要がありそうだ。

2013年6月3日月曜日

日本郵便が太陽光発電事業に参入し、苦しむ太陽光発電業界に朗報

<以下、産経新聞より抜粋>
日本郵便が6月3日、太陽光発電事業に参入すると発表した。
全国の郵便局のうち286施設の屋上に、発電能力が約20~500キロワットの設備をそれぞれ設置する。
投資額は30億~40億円程度で、年間5億円の売り上げを見込んでいる。

286施設合計の年間発電量は一般家庭約3000戸の電力需要に相当する約11メガワットになる見込みで、二酸化炭素(CO2)の削減量は年間約4.4トンになる見込みである。

藤本栄助副社長は、「遊休資産を活用し、郵便事業を強くしていきたい」と話している。
<以上、産経新聞より抜粋>

郵便部門、貯蓄部門、保険部門で稼いだ利益を太陽光発電事業に投じることには賛否両論あるだろうが、個人的には支持したい。
なぜなら、太陽光発電業界(特にメーカー)の景気があまり良くないからである。

太陽光発電といえば時流に乗っていて儲かっている業界だと思われるかもしれないが、実態は参入障壁が低く、割安な中国品があるため、苦しんでいる業界だ。
すぐに供給過剰になってしまう。

ドイツではQセルズが破綻したり、日本でも各太陽光発電メーカーが苦しんでいる。

例えばシャープの太陽電池部門は、平成24年3月期が売上高223,916百万円で営業損失が21,982百万円、平成25年3月期が売上高259,916百万円で営業損失が4,497百万円である。
太陽電池ワイヤーソーの製造を行っている自動車部品会社の安永でも、
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/05/blog-post_8193.html
のように太陽電池ワイヤーソーを含む機械装置事業が苦戦している。

京セラのように利益が出ている企業もあるが(ファインセラミック応用品関連事業で平成24年3月期が売上高179,784百万円・税引前利益が6,459百万円、平成25年3月期が売上高211,439百万円・税引前利益が17,924百万円)、太陽光発電業界全体では厳しい状況だ。

今回の日本郵便の規模の投資額では太陽光発電業界全体にとっては焼け石に水だろうが、今後とも太陽光発電トレンドが上昇してゆけば良いだろう。
そしていつかは太陽光発電と電池に抜本的な技術革新を叶えてほしいと思う。

特許審査待ち期間を短縮だが情報流出に注意

日本経済新聞によれば、政府が企業の特許審査にかかる時間を大幅に短くするとのことだ。

申請から審査に入るまでの待ち時間を、現在は約26ヵ月であるが、11ヵ月に短縮する。
これは企業にとっては間違いなく朗報だ。

方法としては、有期雇用の審査官の人数を減らさずに維持することや、過去の特許との重複を調べる業務を外部委託することがあげられている。
特許のような知的財産権の分野では何よりも情報流出に備えることが重要だ。
審査が早いことは素晴らしいが、情報流出にだけは気をつけなければならない。

しかし、のんびりしてはいられない理由もある。
中国の特許出願件数が前年比34%増で52万6000件と世界のトップになっていることだ。

今回の方針で、日本企業の競争力が知的財産権分野で少しでも高まるように特許庁に期待したい。

日経平均は引き続き急調整

今日の日経平均は512円安と今年3番目の下げ幅となった。

長らくデフレで無風状態だった日本市場だが、大規模金融緩和で短期筋が介入してくると、やはり値動きが大きくなる。

しかし、長らく長期保有で投資をしている投資家にとっては好ましい調整といえる。
企業業績や配当の回復以上に株価が急騰してしまっていたため、割安と思える銘柄がなくなっていたからだ。

長期投資の投資家は、今、着実に企業業績を分析して、魅力的な投資先を探っているはずである。

南アランドが急落

南アフリカの通貨ランドが急落している。

主な原因は、以下のように1QのGDPが予想を下回り、経済が失速していることだ。
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/05/blog-post_29.html

ランド・円は既に2013年1月の安値である9.71近くまで調整した。
ここまで一本調子だっただけに、ロスカットも巻き込んでの調整となったものと思われる。

今後もインフレ懸念による中央銀行の利下げの可能性やさらなる世界経済の失速に注意が必要だろう。
そして経済失速で最も恐ろしいのは財政についてのリスクが意識されることだ。
財政に係る指標には注意が必要だろう。

一方で賃金が上昇しているのは、短期的にはインフレリスクを意識させるが、長期的な経済のプロセスにおいては悪くない兆候と思う。

「ディオバン」論文問題にみる自己レビューの脅威と対策

「ディオバン」はスイスの大手製薬会社ノバルティス ファーマの降圧剤で、世界で年間6000億円以上、日本でも年間1000億円以上を売り上げた大型新薬である。
同新薬に係る論文に不正疑惑が噴出している。

2001~04年に行われた京都府立医科大学、東京慈恵医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学の5大学でのディオバンに関わる医師主導の臨床研究について、ノバルティスの元社員が当時、同社社員の身分を開示せず、非常勤講師として勤務する大阪市立大学の肩書で論文作成に関与していたことが発覚したからだ(ダイヤモンド・オンラインより)

ノバルティスの元社員はデータ解析を担当していたため、データの捏造まで疑われる事態となった。

どんな業界でも自己レビューや自己監査による独立性に対する脅威はつきまとう。
それを法的規制や自主規制により第三者からの疑念を抱かれないように努力している。
このような独立性に係る問題は近年特に重要視され、規制が厳しくなってきたように思う。

一方で、一つの専門分野に特化した人材であれば、その能力から様々なポストに引く手あまたになる。
そういう意味では、規制を厳しくしすぎると人材がうまく活用されなくなる恐れもあるし、自由に反する側面もある。
ただ、あまりあってはいけないことだが、審査機関や行政へ顔が利くことが、評価される場合もある。

規制と緩和のバランスをどのようにするか、独立性の侵害を許さない制度をどのように構築するか、今後の製薬業界の動きに注目したい。

なお、このような問題では、各人の倫理観の醸成を忘れてはならないだろう。
倫理観の醸成とそれによって作り出される風土は、何よりも有効な薬である。

内部留保の活用

アベノミクス第3の矢「成長戦略」について甘利経済再生相は、「規制緩和に加えて、設備投資や研究開発の減税措置を行う」と述べている。
これにより投資を促進し、公共事業ではなく民間が主導する形での経済成長を目指す考えだ。

確かに、民間企業には200兆円を超える内部留保があり、これをどう動かしていくかが問題だ。
しかし、今までの経緯をみると多少の減税措置では、びくともしないだろう。

上場企業の半分以上が実質無借金の時代。
この内部留保を動かすことさえできれば・・・。

ストックばかりが膨らみ、フローが小さくなってしまった経済。
安倍内閣には、今後とも大規模かつ斬新な政策でフローを動かしてもらいたい。




ホンダ4輪が好調

日経新聞によれば、ホンダが新型セダン「アコード」の販売に合わせ、200万円以上の高価格車を中心に販売する認定店を2015年までに全体の1割程度とする意向だ。
来年発売予定の高級車「レジェンド」などのためでもある。

認定店になるためには、試乗車の設置スペースの大きさなどの条件を満たすことが必要で、ホンダ系の販売会社は店舗改装費用として総額1000億円規模を投じる見通し。

ホンダの2輪事業と4輪事業の販売台数の推移を見ておこう。

<2輪事業の連結売上台数>
(単位:千台) 2011年度 2012年度
日本                    220           217
北米                    200           250
欧州                    198           179
アジア                 6001         7051
その他                2031         1813
合計                   8650        9510

<4輪事業の連結売上台数>
(単位:千台) 2011年度 2012年度
日本                    580            685
北米                   1323          1731
欧州                    158            171
アジア                  219            523
その他                 202            298
合計                   2482          3408

2輪事業・4輪事業ともに北米とアジアの伸びが大きい。

2輪事業は北米・アジア以外の地域が減少している。
一方、4輪事業は全地域が増加している。

国内については、2輪販売は頭打ちとなっているが、4輪が伸びている。
今後は国内の高級車市場を狙ってゆくのは妥当な判断だろう。
今までのホンダの国内販売は、軽自動車や低価格の小型車が全体の約8割であった。
認定店の活躍で高級車の販売が伸びるかどうか、見どころである。

上場企業の5割が実質無借金に

平成25年3月期の決算では、上場企業の5割以上が実質無借金となっているそうだ。

実質無借金とは、現金預金や短期の有価証券などの手元資金が借入金や社債などの有利子負債を上回っている状況だ。

企業の資金調達の方法としては、新株発行による資本金の調達と借入や社債などの負債による調達がある。
新株発行による資本金の調達であれば企業にはその返済期限がなく、自己資本と呼ばれる。
借入や社債などの負債による調達であれば企業には期限内の返済義務があり、他人資本と呼ばれる。
通常の企業は、自己資本と他人資本の両方を組み合わせて資金調達している。

実質無借金の状態は、実質的に他人資本がない状態であり、期限内にお金を返済する義務がないため、経営的には安定していると言える。

しかし、一方で実質無借金の企業は、新たな投資先や事業がないため、他人資本による資金調達の必要性がない企業とも言える。
そして、成長した事業から果実を摘み取ることで、他人資本を返済している。

成長企業の場合、通常は資金調達の必要性が高く、他人資本を用いるものだ。

日本の上場企業には成長企業よりも成熟企業が多くなり、お金がダブついている。
ダブついたお金が新たに投資されるか、自社株買いなどで株主に還元されるか、どちらかが必要だと思う。