株主総会シーズンで大量の招集通知が届き、開封に一苦労した。
今シーズンの招集通知にも様々な書類が同封されていたが、ローランドの新社長に就任した三木純一氏の文章に目がとまった。
ローランドは、電子楽器などで有名なメーカーだが、最近では利益を出しているのはプリンターなどを取り扱うパソコン周辺機器部門であり、電子楽器部門は赤字に陥っている。
最近のセグメント別の業績は次のような状況だ。
<平成24年3月期>
(単位:百万円) 外部売上 セグメント利益
電子楽器事業 42,314 △1,036
PC周辺機器事業 32,510 1,908
<平成25年3月期>
(単位:百万円) 外部売上 セグメント利益
電子楽器事業 39,889 △2,094
PC周辺機器事業 32,420 1,643
最近では、電子楽器事業は回復するどころか赤字が拡大しているのだ。
そして、ローランドは海外売上が多い会社だが、多少の円安になっても欧州景気が上向かなければ、パッとしない感じだ。
正直、売却を検討していた。
しかし、三木純一新社長の文章を見て、少し売却を思いとどまることにした。
<以下は、三木純一社長の文章より抜粋>
(前略)
近年、会社の成長に伴い、創業当初のベンチャー魂が薄れてきています。成功体験に縛られ、社内組織も硬直化し、お客様との距離が広がっていると痛感しております。このような問題に正面から向き合い、ローランド・ブランドを再び輝かせたい。その思いで、この4月に社長に就任させていただきました。
(中略)
決して縮小均衡を目指しているわけでも、ただ利益をだせばよいと考えているわけでもありません。私は技術畑出身です。製造ラインでの組み立てから始まり、品質保証、専用LSIの設計、サウンドデザインなどに携わり、電子ピアノやシンセサイザーなど、多くの製品をつくってきました。特にサウンドデザイン(音づくり)に関しては、一切妥協しない強いこだわりをもって取り組んできました。この、ものづくり、楽器づくりへの熱い情熱は、社長となった今も変わっていません。ローランドをどこにでもある会社ではなく、誰にとっても「オンリーワンのブランド」にしたいと強く思っています。新たな文化を生み出す、アーティスト、クリエーターの想像力を常に刺激するブランドであり続けたいと思います。
社長としての私の使命は、より多くの方に、聴いたり見たりするだけでなく、より積極的に音楽や映像で表現することの楽しみを広げていくことだと考えています。
(中略)
電子楽器はまだまだ成長していくことが可能です。
(略)
<以上は、三木純一社長の文章より抜粋>
この文章を読んで、ものづくりの原点を見るような気がした。
私自身、下手の横好きではあるがピアノをやっていて、電子ピアノを自宅に置いている。
なんとなく、ローランドと三木社長の目指す音楽シーンの発展、さらなる進化を遂げるであろう電子楽器、を応援してみたくなった。
少し配当金額には不満だが、もう少し待ってみることにしよう。
良いものづくりが、いずれは業績回復にもつながることを信じて。
0 件のコメント:
コメントを投稿