アベノミクスによって不動産市況が改善してきたことにより、三井不動産の業績も好調だ。
三井不動産社長の菰田正信氏のインタビューが日本経済新聞に載っていたので、目を引いた。
三井不動産は開発した物件を売却する収益モデルが特徴で、開発した物件をREITや海外投資家に売却することで、バランスシートを膨らませずに新規開発を継続できる。
一方で、不動産価格が上昇局面にある際には、開発物件を売却するよりも保有し続けた方が市況回復の恩恵を受けやすい面もある。
菰田社長によると、三井不動産は、バランスシートを膨らませずに財務的健全性を維持することを重視しているようだ。
また、金利上昇に備え、有利子負債の期間の長期化をすすめている。
実際に平成25年3月期の決算データを三社比較で見てみよう。
平成25年3月期の決算データ
(単位:百万円) 売上高 総資産 純資産 自己資本比率 総資産回転率
三井不動産 1,445,644 4,390,074 1,233,081 26.9% 0.32
三菱地所 927,157 4,711,521 1,366,011 26.3% 0.19
野村不動産 517,740 1,369,949 398,276 24.5% 0.37
まず、バランスシートの健全性を表す自己資本比率では、三井不動産に軍配が上がった。
次に、総資産回転率(売上高÷総資産)を算出すると、野村不動産が最も資産効率が良いことがわかる。
野村不動産に次ぐのが三井不動産となっている。
総資産回転率は数値が高いほど、資産が効率的に売上に結びついていることを示す指標だ。
また、総資産回転率が高ければ、開発物件の資産離れが良く、リスクを負わない体質といえる。
逆に三菱地所に関しては、総資産回転率は悪いものの、開発した物件を自ら保有しているため、不動産価格の上昇によるキャピタルゲイン部分を享受できる体制であることが分かる。
取りまとめると、3社には以下の傾向があると判断した。
・市況の変化に対応できる安全性と財務的健全性
1位 三井不動産
2位 野村不動産
3位 三菱地所
・不動産価格の上昇で得られるメリットの大きさ
1位 三菱地所
2位 三井不動産
3位 野村不動産
0 件のコメント:
コメントを投稿