2013年7月3日水曜日

オリンパス事件とライブドア事件の判決及び処分の違い

2013年7月3日、オリンパスの粉飾決算事件に係る東京地裁判決で、金融商品取引法違反に問われた元オリンパス会長菊川被告らに対して、以下の判決が下った。

元会長 菊川剛被告       懲役3年 執行猶予5年 (求刑・懲役5年)
元常勤監査役 山田秀雄被告 懲役3年 執行猶予5年 (求刑・懲役4年6月)
元副社長 森久志被告      懲役2年6月 執行猶予4年(求刑懲役4年)
オリンパス(法人)          罰金7億円(求刑・罰金10億円)

また、監査法人や公認会計士への処分は以下の通り。
監査法人              実質的な御咎めなし
監査担当公認会計士       実質的な御咎めなし
企業評価を行った公認会計士 金融庁による業務停止3ヶ月の懲戒処分  

有罪判決となった被告の全員に執行猶予がついている。
このような判決を見るたびにライブドア事件の時の取り扱いとの違いが気にかかる。
ライブドア事件の粉飾金額は53億円であり、オリンパス事件の粉飾金額は最大で1178億円にものぼる。
しかもライブドア事件の粉飾は当時の会計基準に照らすとそもそも粉飾と断定できるかどうかすら微妙なものであったが、オリンパスの粉飾は長年にわたっており会計基準上も完全にアウトだ。
社会的影響は圧倒的にオリンパス事件の方が大きい。
菊川元会長らに情状酌量の余地があるとすれば、負の資産は前任の経営者たちから引き継がれてきたものであり、前任の経営者らは既に公訴時効となっていることだけだろう。


ライブドア事件の際の判決は以下の通りであった。
堀江貴文元社長     懲役2年6ヶ月
宮内亮治元被告     懲役1年2ヶ月
岡本文人元被告     懲役1年6ヶ月 執行猶予3年
熊谷史人元被告     懲役1年 執行猶予3年
中村長也元被告     懲役1年6ヶ月 執行猶予3年
ライブドア(法人)     罰金2億8千万円
ライブドアマーケティング(法人) 罰金4000万円

また、監査法人のその後と公認会計士への判決は以下の通り。
監査法人         検察当局の捜査を受け、監査業務を遂行できなくなり自主解散
監査担当公認会計士 (1審)懲役10か月 (2審)懲役1年 執行猶予4年

何と言っても、個人にとって、実刑か執行猶予付きかの差は絶大だ。
経済事件において、いかにライブドア事件が特異だったかは際立っている。

また、監査法人や公認会計士に対する処分・判決・社会的制裁についても、悪質度や節穴度に関してはオリンパス事件の方が大きいように思うが(会計基準上、完全にアウトとなる会計処理。明らかに不自然な金額のM&A報酬を含む巨額なのれん。また、会計監査人の交代までしている。)、やはり担当した監査法人である「あずさ監査法人」と「新日本監査法人」が大きすぎて処分しづらい(業務停止処分でも社会的影響が大きすぎる)ことと、ライブドア事件の特異性により、結果に差が出ているように思う。

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