2013年6月3日月曜日

特許審査待ち期間を短縮だが情報流出に注意

日本経済新聞によれば、政府が企業の特許審査にかかる時間を大幅に短くするとのことだ。

申請から審査に入るまでの待ち時間を、現在は約26ヵ月であるが、11ヵ月に短縮する。
これは企業にとっては間違いなく朗報だ。

方法としては、有期雇用の審査官の人数を減らさずに維持することや、過去の特許との重複を調べる業務を外部委託することがあげられている。
特許のような知的財産権の分野では何よりも情報流出に備えることが重要だ。
審査が早いことは素晴らしいが、情報流出にだけは気をつけなければならない。

しかし、のんびりしてはいられない理由もある。
中国の特許出願件数が前年比34%増で52万6000件と世界のトップになっていることだ。

今回の方針で、日本企業の競争力が知的財産権分野で少しでも高まるように特許庁に期待したい。

日経平均は引き続き急調整

今日の日経平均は512円安と今年3番目の下げ幅となった。

長らくデフレで無風状態だった日本市場だが、大規模金融緩和で短期筋が介入してくると、やはり値動きが大きくなる。

しかし、長らく長期保有で投資をしている投資家にとっては好ましい調整といえる。
企業業績や配当の回復以上に株価が急騰してしまっていたため、割安と思える銘柄がなくなっていたからだ。

長期投資の投資家は、今、着実に企業業績を分析して、魅力的な投資先を探っているはずである。

南アランドが急落

南アフリカの通貨ランドが急落している。

主な原因は、以下のように1QのGDPが予想を下回り、経済が失速していることだ。
http://tsurezure-economy.blogspot.jp/2013/05/blog-post_29.html

ランド・円は既に2013年1月の安値である9.71近くまで調整した。
ここまで一本調子だっただけに、ロスカットも巻き込んでの調整となったものと思われる。

今後もインフレ懸念による中央銀行の利下げの可能性やさらなる世界経済の失速に注意が必要だろう。
そして経済失速で最も恐ろしいのは財政についてのリスクが意識されることだ。
財政に係る指標には注意が必要だろう。

一方で賃金が上昇しているのは、短期的にはインフレリスクを意識させるが、長期的な経済のプロセスにおいては悪くない兆候と思う。

「ディオバン」論文問題にみる自己レビューの脅威と対策

「ディオバン」はスイスの大手製薬会社ノバルティス ファーマの降圧剤で、世界で年間6000億円以上、日本でも年間1000億円以上を売り上げた大型新薬である。
同新薬に係る論文に不正疑惑が噴出している。

2001~04年に行われた京都府立医科大学、東京慈恵医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学の5大学でのディオバンに関わる医師主導の臨床研究について、ノバルティスの元社員が当時、同社社員の身分を開示せず、非常勤講師として勤務する大阪市立大学の肩書で論文作成に関与していたことが発覚したからだ(ダイヤモンド・オンラインより)

ノバルティスの元社員はデータ解析を担当していたため、データの捏造まで疑われる事態となった。

どんな業界でも自己レビューや自己監査による独立性に対する脅威はつきまとう。
それを法的規制や自主規制により第三者からの疑念を抱かれないように努力している。
このような独立性に係る問題は近年特に重要視され、規制が厳しくなってきたように思う。

一方で、一つの専門分野に特化した人材であれば、その能力から様々なポストに引く手あまたになる。
そういう意味では、規制を厳しくしすぎると人材がうまく活用されなくなる恐れもあるし、自由に反する側面もある。
ただ、あまりあってはいけないことだが、審査機関や行政へ顔が利くことが、評価される場合もある。

規制と緩和のバランスをどのようにするか、独立性の侵害を許さない制度をどのように構築するか、今後の製薬業界の動きに注目したい。

なお、このような問題では、各人の倫理観の醸成を忘れてはならないだろう。
倫理観の醸成とそれによって作り出される風土は、何よりも有効な薬である。

内部留保の活用

アベノミクス第3の矢「成長戦略」について甘利経済再生相は、「規制緩和に加えて、設備投資や研究開発の減税措置を行う」と述べている。
これにより投資を促進し、公共事業ではなく民間が主導する形での経済成長を目指す考えだ。

確かに、民間企業には200兆円を超える内部留保があり、これをどう動かしていくかが問題だ。
しかし、今までの経緯をみると多少の減税措置では、びくともしないだろう。

上場企業の半分以上が実質無借金の時代。
この内部留保を動かすことさえできれば・・・。

ストックばかりが膨らみ、フローが小さくなってしまった経済。
安倍内閣には、今後とも大規模かつ斬新な政策でフローを動かしてもらいたい。




ホンダ4輪が好調

日経新聞によれば、ホンダが新型セダン「アコード」の販売に合わせ、200万円以上の高価格車を中心に販売する認定店を2015年までに全体の1割程度とする意向だ。
来年発売予定の高級車「レジェンド」などのためでもある。

認定店になるためには、試乗車の設置スペースの大きさなどの条件を満たすことが必要で、ホンダ系の販売会社は店舗改装費用として総額1000億円規模を投じる見通し。

ホンダの2輪事業と4輪事業の販売台数の推移を見ておこう。

<2輪事業の連結売上台数>
(単位:千台) 2011年度 2012年度
日本                    220           217
北米                    200           250
欧州                    198           179
アジア                 6001         7051
その他                2031         1813
合計                   8650        9510

<4輪事業の連結売上台数>
(単位:千台) 2011年度 2012年度
日本                    580            685
北米                   1323          1731
欧州                    158            171
アジア                  219            523
その他                 202            298
合計                   2482          3408

2輪事業・4輪事業ともに北米とアジアの伸びが大きい。

2輪事業は北米・アジア以外の地域が減少している。
一方、4輪事業は全地域が増加している。

国内については、2輪販売は頭打ちとなっているが、4輪が伸びている。
今後は国内の高級車市場を狙ってゆくのは妥当な判断だろう。
今までのホンダの国内販売は、軽自動車や低価格の小型車が全体の約8割であった。
認定店の活躍で高級車の販売が伸びるかどうか、見どころである。

上場企業の5割が実質無借金に

平成25年3月期の決算では、上場企業の5割以上が実質無借金となっているそうだ。

実質無借金とは、現金預金や短期の有価証券などの手元資金が借入金や社債などの有利子負債を上回っている状況だ。

企業の資金調達の方法としては、新株発行による資本金の調達と借入や社債などの負債による調達がある。
新株発行による資本金の調達であれば企業にはその返済期限がなく、自己資本と呼ばれる。
借入や社債などの負債による調達であれば企業には期限内の返済義務があり、他人資本と呼ばれる。
通常の企業は、自己資本と他人資本の両方を組み合わせて資金調達している。

実質無借金の状態は、実質的に他人資本がない状態であり、期限内にお金を返済する義務がないため、経営的には安定していると言える。

しかし、一方で実質無借金の企業は、新たな投資先や事業がないため、他人資本による資金調達の必要性がない企業とも言える。
そして、成長した事業から果実を摘み取ることで、他人資本を返済している。

成長企業の場合、通常は資金調達の必要性が高く、他人資本を用いるものだ。

日本の上場企業には成長企業よりも成熟企業が多くなり、お金がダブついている。
ダブついたお金が新たに投資されるか、自社株買いなどで株主に還元されるか、どちらかが必要だと思う。