自動車部品会社の25年3月期決算についてレビューしたい。
株式会社安永は、エンジン部品が主力事業であるが、機械装置事業や環境機器事業も手掛けている。
ここまでの配当傾向をみると安定配当とは言えないが、配当に対する意識は高く、業績が良くなれば適切に増配するだろうと思う。
しかし、機械装置事業に含まれる太陽電池ワイヤソーが苦戦。
太陽電池関連としてもてはやされたこともあったが、業績には悪影響を与えている。
とはいえ、太陽電池関連は業界全体が悪いため、経営責任とは言えないだろう。
以下、セグメント情報から同社の状況を読み解こう。
<平成24年3月期>
(単位:百万円) 外部売上 セグメント利益 セグメント資産
エンジン部品 25,085 1,201 19,635
機械装置 8,459 △76 5,885
環境機器 2,441 △16 2,061
<平成25年3月期>
(単位:百万円) 外部売上 セグメント利益 セグメント資産
エンジン部品 25,674 1,362 17,774
機械装置 5,077 △1,863 6,143
環境機器 2,871 117 2,318
エンジン部品事業は、国内とインドネシアが好調で増収増益を確保した。
売り上げの増加以上にセグメント利益が増えており、良い傾向と考えられる。
今後自動車業界全体の回復に乗っていけるのではないか。
機械装置事業には、自動車用工作機械と太陽電池ワイヤソーが含まれる。
まず、自動車用工作機械については、大口の売り上げが次年度にずれたとのことである。
一方、太陽電池ワイヤソー事業はより深刻だ。
既に滞留在庫を抱えており、棚卸資産の評価損も11億円計上している。
棚卸資産の評価損は売上原価の区分に計上するのが原則のため、セグメント損失18億円のうち11億円は太陽電池ワイヤソー在庫の評価減と思われる。
棚卸資産の評価損を計上している以上、今後の見通しも良くなく、回復には時間がかかりそうだ。
いかに赤字幅を抑えられるかが重要だが、太陽電池関連事業は同社の特徴でもあるため、続けてもらいたいように思う。
環境機器事業は、新型エアーポンプやディスポーザーシステムの好調で良くなっている。
今後も期待できるのではないか。
同社全体の業績推移は以下となっている。
売上高 経常利益 当期純利益
平成23年度 36,314 1,055 882
平成24年度 33,966 △275 △524
平成25年度予想 30,000 525 200
平成25年度の予想については、国内新車市場が前年割れ水準であること、韓国工場のエンジン部品生産立ち遅れ、太陽電池ワイヤソーの販売低迷により売上高が減少見込みとなっている。
販管費を削れており、棚卸資産の評価損もなくなるため、経常利益は確保できそうだ。
東南アジア自動車市場の推移によっては、業績上ブレもあるのではないかと思う。
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